OVA/モエかん
もえかんじあにめーしょんツッコミ感想記録。
飽く迄いちファンの個人的な感想やツッコミですのでその点ご了承下さい。
※本編スクショを引用しておりますので、問題が生じたらそっと消します。


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●Chapter1:リニア

リニア篇序盤の駆け足紹介。健気なポンコツのリニアと、それを連れて来た隷の意味深な様子と、最初は当たりがキツくやがて絆されていくツンデレテンプレの貴広と、そんなリニアと貴広を見守る霧島さんと言った所。


燃え盛る廃墟の中からスタート。
貴広の朱キ日の時の悪夢の様ですが、朱のイメージは余り無いですね。





瓦礫の中には右足を痛々しく失った貴広と、彼に抱えられた隷の姿が。
栄光も進む道も人を越えた力も思い出も全てを失った──と文章でモノローグが挟まれて行きますが、思い出を失った因果関係は朱キ日には無いですよね…。

壊れた柱時計をぼんやり見つめる貴広。
そこにどこからともなく己を呼ぶ声がし、思わず上を見上げると、そこから可愛らしい目覚まし時計が降って来て貴広の頭を直撃します。



そこで悪夢は醒めます。
妙に似合わない寝間着でおねむしていたねぼすけ神崎所長を起こしたのは、霧島さんの目覚まし時計アタックでした。
霧島さんに呼ばれて起きる、と言うのいいですね…!


うなされていた人間にどういう仕打ちだと、低血圧そうに文句を言う貴広。
霧島さんはさらっと無視して来客が居る事を告げます。


言われて貴広は寝室の入り口に顔を向けるものの、目を細めても裸眼ではよく解らなかったのか、マジカル鼻眼鏡を装着。
明らかに目線がレンズを通っていない気はしますが、来客──隷の姿を確認し、驚きます。
客人がいきなり所長の寝ている寝室に通されるとか、非常識なのがどうでもよくなるぐらい超近眼なのでしょうきっと。

*

着替えて所長室に向かう貴広。隷との素っ気ないやり取りと同時に舞台説明をしてくれて視聴者に優しいです。
貴広の皮肉げな調子に取り合わず、旧式のアンドロイドを戦闘メイドに育てて欲しいと隷は告げます。


そのアンドロイド──リニアのデータに目を通しながら、貴広は露骨に訝しむ表情。霧島さんも何かを思う様な表情になるのでした。


飯島の登場を省いた為にか、場所は何故かヘリポートに移りまして、何故か所長自らリニアを迎えに行く様な状態に。

この、隷、貴広、霧島さんの並びのスケール感なんか良い…。
ややあって飛んで来たのは大型輸送機。
そこからリニアがぱんつ丸見えなのに慌てながらパラシュートでダイビングして来ると言う謎登場。いやなんでそんな登場の仕方…?
ドジっこメイドの現れ方とかなんかマニュアルでもあるんですかねカンパニーには…?


お尻で盛大に着地するリニアに、淡々としていた隷が珍しくも慌てた様子で駆け寄ります。ここの隷の様子いいなぁ…。



リニアハンドをうぃんうぃんさせながら喋るリニア。
然し記憶の欠損で貴広の質問にまともに答える事も出来ません。
愛嬌はあっても、隷の言う「優秀なメイド」とはとても思えず、不信感の果ての不満を隠しもせず、絵に描いた様なへの字口の貴広。


貴広は健気なリニアの態度に、生来のアンドロイド嫌いも含めて、苛々すると言い切ります。
リニアが隷を庇って間に入るのも、隷がそんなリニアを特別な思い入れがある目で見ているのは明らかだと言うのも引っかかる点なのでしょうね。
結局霧島さんが取りなして、本社命令では逆らえないからとリニアを置く事になりました。
「怖いのは所長だけでちゅから」とリニアに説明しながら去って行く霧島さんほんと好き。

*


取り敢えず就業時間になったのか屋敷に戻ってその儘、所長のお通りイベント。
通り過ぎ様に、全く見ていない様で観察力の唸る服装チェックをさりげなくしてメイドたちに緊張感を振り撒く貴広。
通り過ぎ様に言い残す様に指摘するのは、真正面からだと萎縮して仕舞うだろうメイドに対する優しさの様な気はしないでもないですけど…。
霧島さんは何も言わず表情も変えまちぇんね。慣れているのでちょう。


真正面からやって来たおやじさんと整備班の人々。
おやじさん以外は所長のお通りに道を空け背筋を正して挨拶。
おやじさんだけは「朝から景気悪ぃ面してんな」と軽口を叩き、貴広も「生まれつきだ」と淡々と返します。
不快感を示すでもない無表情でいる辺りに、年季の入った気安さの様なものが伺えますね。さすが悪巧み仲間。


一方で整備班の人々には「おっかない」「得体が知れない」「人前で笑っている所を見た事がない」と散々な言われよう。
態度も経歴も珍獣か怪物かとしか言い様がないのだから仕方のない話ではありますが…。
完全に所長皆に敬遠されてます。
↑一巻時点でのここポイント。



と、その先ではリニアが何やらものっそい不自然極まりない段ボールの下に埋もれていました。
貴広は先程までの淡々とした態度を放り捨ててリニアを怒鳴りつけて片付ける様命じますが、明らか軽そうな段ボールはリニアの力では揺れるけれど動かせそうにありません。
……いやその荷物運ぼうとしていたならいけるよね?
…まあ原作にもあるシーンなのですが、あちらはデフォルメタッチで荷物全体に潰されている感なのに対してこちらは、普通の等身で、箱が揺れるものの持ち上げられも落下もしないと言う不自然描写ゆえに…。


ブチ切れかかる貴広を宥める様に、霧島さんがアンドロイドの戦闘モードへの移行をアドバイスします。
この霧島さんちょうかわいいでちゅね。


アドバイスに従ってリニアは戦闘モードを全開にします。
この、よくある目がブォンとなる演出好きです。


全開はまずい、と霧島さん慌てるものの時すでに遅し。スーパーサイヤリニアによって段ボールの山ごと霧島さんと貴広はフッ飛ばされます。
慌てて謝るリニア。その首から不自然なネジがぽろっと落ちて、怒鳴ろうとしていた貴広も流石に焦ります。
ネジは霧島さんが素手で直してくれます。いや工具持ってる気配がなかったもんで…。
貴広はリニアに、整備班長(おやじさん)にメンテをしてもらえと言います。
メンテナンスってお注射とかするのでは…と嫌がる子供の様な言い種をおずおずと言うリニアに、またしても所長の怒鳴り声が響くのでした。
アンドロイドである筈なのに人間くさい、と言うリニアの設定表現ですが、このOVAでは全く活かされませんでした(普通にネタバラシていくスタイル)。

*


余程情緒が振り回されて疲れたのか、貴広の机の上の吸い殻がえらい事になってます。この量はヤバい。この灰皿のサイズもヤバいけど。


急に天井が低くなって壁が狭まった気のする、パースのおかしな所長室で残業を済ませる貴広。
あれっ灰皿がどこにもない(重箱)。
漸く仕事を終えて廊下に出るとそこにはリニアがお茶の支度をして待っていました。


貴広はこう言う意外性イベントに弱いのか、それとも疲れ果てていただけなのか、大人しく廊下に正座してリニアの点てたお茶を頂きます。


原作にもあるシーンとは言え、こうなるとシュール極まりない。
茶道ならば正座せねばと思ったのか、ちょこんと正座している貴広の妙な律儀さよ…。


茶道と言う高度な技能に感心したのか、それとも抹茶一杯で絆されただけなのか…。
憑き物の落ちた様に穏やかな様相になった貴広はリニアに、霧島の作った明日からのカリキュラムを手渡します。


そんな二人の様子を霧島さんが思わしげに、廊下の隅で見ていました。

*



冬葉と親しくなり(?)、鈴希をたこ焼きで手懐ける(言い方)リニア。彼女の張り切る様子をこそこそと伺う所長の姿は胡散臭い事この上ないです。




そんなこんなで午前の仕事を終えたのか、それともサボっていたのか、海の見える丘(崖…?)で何やら黄昏ている貴広。
そこに食事を持ってくるリニア。少し憂いて見える横顔も、振り向く時にはいつものしかめ面です。


お腹を鳴らすリニアに呆れ絆され、ツンデレ全開の言い種でサンドイッチを押し付ける貴広。
中身がフルーツサンドであった事にリニアは喜び、そんなリニアに貴広は「ガキ舌」と呆れるものの、誰だ所長のお昼ごはんにフルーツサンドとか言う甘いもの嫌いの天敵をチョイスした人は!
実際手をつけようともしませんよ所長。
OVAの貴広は全体的に体が凄く薄いので、摂取カロリーに不安が生じます。
ヒョロいと言うよりペラいんですよ…。


自分の曖昧な古い記憶を語るリニア。
心象風景なのか記憶の風景なのかは定かでないですが、廃墟の町並みを歩いている辺り、Jesus and Mary Chainで崩壊した世界のどこかでリニアは目覚めたと言う事かも知れませんね。


*

夜になってバルコニーでワイングラスを傾ける貴広と隷。一体どういうシチュエーションなんですか。

リニアに絆されつつある事を認めたくないのか、隷には相変わらず悪態を吐き、いつまでここに居るんだと投げる貴広。
見届けるまで、とそれに意味深に返す隷。


でも「多少はマシになってきたが」とリニアへの評価を語る表情がオチてる人のそれです。
隷は「またこうして皆が集まる日が来るなんて夢にも思わなかった」と呟きますが、貴広はそれに対してツッコミも問いも投げません。

*

翌日。轟音に貴広が駆けつけると、そこにはワンちゃん型掃除機を暴走させて大暴れのリニアの姿が。

あの掃除機そんな大きいんだ?!ヘッドの部分見ると明らかこんなサイズ感ではないのですが…。
暴走の挙げ句に掃除機はリニアを放り捨て、貴広と冬葉の方へと突っ込んで行きます。

もう駄目だ、とリニアがリニアハンドで目を覆った時、掃除機のコンセントが抜かれて掃除機の暴走は停止します。
あんなデッカいマシンで普通のコンセントなんですね…。凄い省エネなのかな…。

コンセントを抜けば解決。さすが霧島さんだ、俺たちに出来ない事を平然とやってのける!

機械と相性が悪いらしい、と謝りに来るリニアを、一昔前のスポ根漫画ばりの平手打ちで叱りつける貴広。
二度と機械に触るなと言いつけます。心配しすぎて激おこです。


下睫毛が何故かばりばりになっているので余計に昭和スポ根少女漫画の雰囲気出てますね。


貴広が荒れ始めた事でか島は暗雲に包まれた悪天になって来ました。
貴広は隷に、自分の復讐の為に何も知らないリニアを利用しているのか、と強い言葉を投げます。

明らかにリニアを案じてキツい態度を取っているのがバレバレな為にか、隷は全く動じずに、リニアを連れ帰れと言う貴広の抗議をスルーして、懐中時計の話で煙に巻きます。
君のものだから返すと言われ、こんなものに憶えはないと返す貴広ですが、ナチュラルに受け取っている辺り。


蓋を開けるものの、時計の針は止まっていて動いていませんでした。
…アレ?内蓋に色々書いてないね。

何十年も動いていない時計だからこそ渡さなければならなかった。
そんな隷の言葉を己への当てつけと取ったのか益々訝しむ表情になる貴広。
時計はバラバラになった時を一つに纏める魔法の機械。
「リニアの事を頼んだよ」
まるで関係のない言葉をそう繋げる隷に、貴広は激しく拒絶を向け、本社に直接具申すると言い放つのでした。


貴広がいよいよ荒れているからか、島は激しく雨が降り、雷が鳴り響きます。
本社に提出する書類をまとめて「これでいいんだ」とか重たげに呟きますが、絆されんのほんと早すぎませんかねこの所長。ちょろすぎる。

部屋の外に出た所で、鈴希からリニアが深夜まで無理してると言われ、貴広が駆けつけると、リニアは自分の仕事が遅い分を時間でカバーするのだと、貴広の制止を無視して作業を続けていました。

いや待ってこの空間は何なの、その効率と安定感の悪いやたら長い梯子は何なの?!
めっちゃくちゃ高すぎの急角度過ぎてもう笑いが止まらない事請け合いです。どうやって梯子移動させて掃除するんですかこれ。
腕が傷ついているのかスパークさせながらも作業を続けるリニアに、やめる様に命令する貴広。
原作には無い程に超うじうじモードに入ったリニアは意識を失って転落します。
無駄に壮大なBGMを背景に、貴広は杖を棄ててリニアを必死にキャッチしますが、その瞬間に義肢に激痛が走って倒れ込みます。
足がグキったのと同時に落雷が落ちるカットが挟まるので、足超痛いんだね…!と思えて笑いそうになって仕舞う場面です。
然し痛むのは義肢と生身の接続点の筈なので、足首グキっとなるのはやはり何かが違うのでは…とやっぱり笑えて仕舞います…。
自分で運べないことは解っているのか、救護班を大声で呼ぶ貴広。戦場かどこかの空気です。


メンテ室で隷に「自分と貴広が喧嘩している原因が己にあると思ってリニアは頑張っていたんだ」と少し怒った様に言われますが、んなこたぁ承知の上なので苛々と返す貴広。
霧島さんからも妙に具体的で長いリニアの寝言「この島にずっと居たい(要約」の援護射撃。
そしておやじさんからも擁護と説得が入り、総出で責められる心地になる貴広。
いや実際貴広悪くないのではこれ…?


「研修期間程度で誰にでも優しくしたら別れが辛いだろ!(要約」と乙女過ぎる本音をやはり下睫毛の気になる横顔で吐露します。
そんな感じなんですねこのツンデレ所長は…?思わず皆びっくりですよ。


貴広は目覚めたリニアに「お前が無理すると俺の仕事が増えるから暫く養生しろ」とテンプレ的なツンデレ以外の何者でもない様な事を言いつけ、それを聞いたリニアも皆も、島にまだ居られるのだと解って安堵するのでした。


その後、アンドロイドの癖にトイレに駆け込むリニアを見送ってから貴広はおかしそうに笑い、冬葉に驚かれ、「貴広が笑ってるのなんて始めて見た」とおやじさんにまで言われ、霧島は「リニアちゃんが所長の心の扉を開いた」と評します。


人前で笑っているのなんて見た事がない、と言われたのを回収する事で、リニアが来て貴広が変わっていく、時が動き始めた、と言う示唆も含ませているのでしょうけれども、この短時間に纏めた為に、絆され易いツンデレ所長としか見えない辺りがなんとも。


ともあれ、リニアと貴広の変化を見届けて安堵した様に隷は帰って行くのでした。


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ややこしいリニア篇をポイント纏めしたのは頑張っていると言えると思います…。序盤だけだけれど。
原作を知ってさえいれば、これはこう言う心情だからこうなんだな、と言うのは読み取れますが、知らない人には訳わかりません多分に。
単なるツンデレ所長と健気なアンドロイドのメイドに、よくわからん過去の因縁の様なものがあるとかないとか…?程度に見えるかな…。

取り敢えずちょいちょい作画崩壊やシュールな場面が気になりますが、そんなものはまだまだ序の口でした…。

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