「うたわれるもの 偽りの仮面」(アニメ)の感想でも。

……最早語る事もない、んですが…、

↓以下、書き口調変化と辛口と苦言とネタバレ丸出し注意。






































まず、25話いらなかったよね。感。
前半がまるごと日常パートアニメで中弛みしてたのが勿体ない…。その内容が後半に全く活きてないと言うのも。
後半の、ウズールッシャ戦、ハクの正体、トゥスクル侵攻、帝崩御とノンストップで「は?」って感じの流れ方だったのを見ても、ほんと緩急の付け方が悪いとしか…。
ゲーム本編もそう言う流れだが、ゲームの方は未だ要所要所で「戦闘パート」がある事、ハクの謎が細かく挿入されていた事で、日常パート連続も戦闘パート連続もそれなりにバランス良く読んでいられた。

ただ、そこここで丁寧な追加描写があって、ゲームの様な「戦闘パートが無い事」に対する違和感、ハクやルルティエが本来戦闘要員ではないと言う事に対するフォローがあったりしたのは、「アニメ的に」良い改変だったと思う。
全く戦闘をしていない人間やお姫様キャラがいきなり戦場に駆り出された、感は地味ながら流れを不自然にしない演出としては良点。
ヴライによる虐殺を目の当たりにしたハクの反応も、ヤマトに来てから戦闘行為の一切無かった現代人(近未来人)として見れば当然かと。寧ろ平然としていられる方が怖い。

*

と言う訳で最終話について。

●謎の字幕サイレント演出。
まずあのサイレント演出は何?????何か意味あった??
「どういう意味かな」から急に台詞が戻る意味がさっぱり解らない。回想が全部サイレント演出なら話はまだ解った。だが実際サイレントだったのはクオンの最初数言の台詞だけで、途中から音声に戻っている。
この中途半端な演出を挟まれた事で出端から挫かれたのは否めない。
視聴者に声でバレない為と言う演出だとしても同様。途中から台詞を音声にした意味がやっぱり解らない。
だが、アニメでは「ウルサラ双子が術法でハクの姿形を変えている」と言う設定(原作公認かどうかは解らない)が追加されているので、クオンが騙される理由(根拠)は強固になった。

「答えよ、オシュトル」の台詞も、そこでクオンがいきなり旅立って仕舞うと言う原作の展開とは異なるからなのか、クオンは鉄扇も向けないし、冷静に問いている様に見えて少し違和感を憶えた。
なので当初は、「クオンはハクの偽を見抜いて、ハクの決意を知った上で騙される事を選んだ」のかとさえ思って仕舞った。
……実際はそうではなかった訳だが。
(ただ、この「クオンは態と騙された」説は、原作エピローグでのクオンの悲しみがカットされていた事で、原作より通りが良くなっている)


●鉄扇
クオンが、幾ら混乱とショックの中にあったからと言って、父親の唯一の品である鉄扇をポイ捨て落としして歩いて行く筈は無いだろう…。
鉄扇=ハクの為に渡した、と言う品物である為、それをもう不要と、クオンが無意識で思って仕舞ったとしても、うたわれるもの上でハクオロの鉄扇はトゥスクルから伝わった大事で重要なアイテムだ。それを落として行って仕舞うと言う演出は正直どうなんだろうと思った。
鉄扇はクオンにとってハクの為の武器であると同時に、未だ見ぬ父親の、トゥスクル皇の形見なのだから。


●ネコネについて。
原作でのネコネの愚かさは一切表現されず、寧ろネコネはハクの協力者でありオシュトルの良き妹として、物わかりよい、「本来あるべきネコネと言う少女」の態度だった。
些かに物わかりが良すぎる感はあるが、原作でも本来は「頭の良い少女」として、このぐらいでなければおかしい、と感じていた部分だった為に妥当な改変と思えるが、「やりすぎ」てはいる。原作での戦犯ネコネと言う扱いを一気に全て無くした為に、逆にネコネが今まで散々に「兄さま兄さま」と言っていたブラコンぷりが唐突に消えた様に見えるのだ。
そこまでやらんでも、アニメでのあの場合は最後にオシュトルに剣を投げただけでも充分にネコネは貢献できているし戦犯扱いから逃れている。オシュトルの死はネコネの無謀を庇ったからではなく、飽く迄オシュトルが魂を使い切ったから、と言う事になっているからだ。
……何事も塩梅が大切と言う事がよく解った。


●大封印。
原作と異なりヴライとオシュトルの決戦時に、ハク(とネコネ)に付き従った双子が用いた。ので、クオンが大封印に影響を受ける演出は当然無い。
だがそれ以上に問題なのは、オシュトルが散々ボロボロになるまでにどうして大封印の使用を申し出なかったのかと言う点。ハクらにシールドを張っている暇があるのなら、とっとと使う事を申し出ても良かったんじゃないの…。
またヴライ的にも決闘を邪魔された形になるし、オシュトルが一騎打ちでなんとかヴライを倒すと言う展開も台無しにされたと言える。
まあ原作と異なり最初にフルボッコにした後の弱ったヴライVS傷ついたオシュトルと言うある意味互角の状況ではなかったから仕方ないと言えば無いのかも知れないが…。(元気なヴライVS傷ついたオシュトルだった訳で)


●オシュトルの最期。
BGMキミガタメもあって、これは原作折り込み済みでも泣けるシーン。
原作とは異なりネコネが散々地雷を踏む前段階が無かった為に原作より泣けた。
墓に酒をかけるシーンも、序盤ウコンとハクが行った墓参りのシーンを回収した形になっていて良かった。
紙仮面のイベントは無かったが、OPなどで散々にハクとオシュトルの対比は描かれていたので、変装=入れ替わりにそれ程に違和感や唐突感は感じさせなかったのではないかと思われる。


●エピローグの無い終わり方。
原作のクオンの、他者と己が身を滅ぼす様な悲しみ、虚無感=クオンの無意識の感情の発露、が綺麗に全部カットされていた。ついでに、クオンの「己の恋心」の自覚も一切が語られなかった。
アニメでも、クオンの様子を見ていれば、ハクの死に衝撃を受けて悲しんでいる事は伝わる。
だが、クオンの抱いて来た想いは本来それだけではないのだ。どうしようもない、己でも制御出来ない感情の嵐の中で、オボロに因って教えられ、そして己で漸く自覚する「悲恋」、即ち、恋の終わり、愛した人の死、と言うものに対する涙が無い為に、クオンが一体どれだけハクの事を想っていたのか、が全くと言って良い程アニメからは伝わって来ない。
アニメを見慣れている人ならば、「クオンはハクの事を好きだったから悲しんでいるんだな」と言う流れは無論解るだろう。
だが、クオンの「あの」苦しみ、愛する人を失った世界に対する虚無と絶望、それを「家族」に受け止められて初めて知った悲しみに因って表現された、原作でのエピローグの衝撃は全く消えて仕舞っていた。
「あの」恋の終わりは、「ただ一人の女の子が悲しんで泣く」描写では伝わらない。クオンの心の中の、無自覚だったからこそのどうしようもない苦しみや悲しみは、本来きちんと表現されて然るべきだった。
正直、アニメ全25話で本当に、一番に、最大に、最後まで失望したポイントだった。


●オシュトル変装の強化。
前述通り双子の術法に因って「偽り」は強化された。が、武人であるオシュトルに対してハクには戦闘経験が無い事などのフォローは相変わらずされていない。
なまじ変装に対する穴を補完する便利設定が出てきて仕舞った為に、ハクがオシュトルとしてこれから生きて行く道の困難さが、双子の便利術法で誤魔化して行くんだろうなあと言う、修羅道や悲壮が無くなって楽観的な感じになって仕舞った気がする。
もっと言うと、そんな便利術法があるのなら仲間に話しても何も問題無いだろ。と言うツッコミが増えた。
……あとどうでもいいけどエンナカムイでの演説をやった台が凄く間抜けな場所に見える…。城かなんかのバルコニーは用意出来なかったんですかねえ…?


●改変や謎演出とかについて気になった所だけ。
最終話以外も含む。多すぎるので箇条書きで。

・ハクの扱い。
戦や暴力に耐性が無いと言う割には、クロウの一撃を受けたり後半鉄扇でネコネを庇ったりと、身体能力が向上し過ぎている感。ゲームなら戦闘をしているから鍛えられてます、と言う言い訳も通じるのだが。
そして戦闘が不得手な分頭が冴えていると言う面もアニメでは全く活かされていない。原作でのスーパーハカー的な過去がぞんざいな所為か、トゥスクルの砦に潜入する方法を考える段の馬鹿っぷりなどはぶっちゃけハクと言うキャラでは無くなって仕舞っていた感さえする。
ハクのルーツ、ハクが「人間」である事の重要性などについてはそこまで触れていないので、ハクが「人間」だからオシュトル(ウコン)もあそこまで惹かれたのだ、と言うのは、うたわれ旧作(とその設定を)知らない人には解り辛いかも…?と思ったが、仮面の事なども全体的に解らないだろうと気付いたので、旧作に関わる謎要素としてカットされた可能性も?あるのかもしれない。

・宮廷の警備が酷い。
そもそも双子が目眩ましの術法を使えない状態になるのも何故なのだと。何者かが術で結界を張っている、と言う点で、ウォシスやライコウの企みを想像するのも良いが…。
原作では「双子が通す「道」は万能ではなく、決まった道しか通れない=帝の居た地下への道しか知らない」からと言う説明をされていたので、城へ「道」を使った出入りは出来なかったが、カルラの手引きで白楼閣からの地下通路を使って城へ入り、そこからは目眩まし風(微妙に異なる空間を歩く)の術法を使う事で兵達の目を盗んで侵入する事が出来た。 ので、警備を抜けられるのも納得の展開だった。
だが、アニメでは敵地であるトゥスクルで「道」を使えているので、その展開と矛盾して仕舞う事で、双子の術法に一切頼らない侵入になったのだろう。その為に素人であるハクやネコネ、武人だが忍でもなんでもないクオンやヤクトワルトが軽々とスニーキングミッションを成功させると言う不自然な話になって仕舞った。
ヤマトと言う大国の姫殿下の寝所にそんなに簡単に侵入されて良いのかと。しかも姫殿下は暗殺未遂の後で重篤状態にあると言うのに、だ。

・ホノカの事。
アンジュを連れ出す際、ホノカが近くに居たのに連れていかないのが不自然。
原作の様にハクが近くにいなかったからと言っても、アンジュを連れ出す事を黙認した時点でホノカが(正体が何であれ)罰を与えられるのは想像に易い筈だ。クオンがホノカに、共に逃げる提案をするとか、あなたも逃げて下さい、などの進言をしないのは少々不自然。原作通りホノカとコンタクトが取れない、と言う方がまだ話が解る。

・ヤマト脱出を図る時のあれこれ。
スピード感とシリアス感と緊迫感が大事なのに、無駄にギャグを挟んでテンポが悪くなりすぎた。
ついでに言うとバレて追い回され過ぎで、態と見逃して貰ったアトゥイ以外が不自然になった。ルルティエは兵士達に目撃され過ぎですが国は大丈夫なんですかね?と言う心配が尽きない。
逆に、父親に見逃して貰って頭をそっと下げるアトゥイの追加演出は良かったかと。
ハク+ネコネとオシュトル、と言う後々の「偽り」を抱える三者の組み合わせをこの辺りから強調しだしたのも、唐突ではあったが結果的に良かった。
然し、こう言う脱出時の扇動が得意なオウギの技能が全く活かされていない人事面の謎や、ヤクトワルトが放置された挙げ句いきなりエンナカムイに辿り着いていたなどの不自然さも際立った。

・白楼閣の二人。
ヤマトの騒乱を見守るシーンで、カルラは良いとしてトウカが普段着(うたわれ無印時の)で居たシーンがあったのに、最終話ではまた女子衆姿に戻っていた謎。何の為に着替えたし。

・クオンさんの超パンチ。
命の危機に瀕したクオンが無意識にウィツァルネミテアパワーを発揮して仕舞ったシーン。
あれについてノスリが何も言わないのは、余りものを深く考えない彼女の性格を見ればまあ頷けないでもない…。
原作エピローグなど比にはならない程の被害を出したが、これはエピローグの感情の暴走に対する伏線としての展開と演出なのかと思っていた。
(クオンはハクの死に対して、自分が死ぬ時に等しい程のショックを受けたのだと伝わり易くなるかと)
が、肝心のエピローグがカットされて仕舞った為に、あの超パンチは何だったんですか?状態に。
アニメでは旧作テイストは殆ど出さなかった。トゥスクルの人間だと最低限解ったり、トゥスクルのお偉いさんであるアルルゥやカミュと親しかったり、トゥスクル兵達が人質にされたクオン(演技)に対して涙ぐんだりと言った演出からトゥスクルに於ける重要人物なのは察する事が叶う程度で、クオンの身分などがダイレクトに語られる事は無かった。
旧作のネタバレを避ける意味合いもあってオボロとの関係や身分についても出さなかったのだろうと言う言い訳は、旧作がアニメ化している事を踏まえると無理があるだろう。
クオンさんの正体は謎デスネー(棒)と言う事に終始するなら無駄に挿入する事無かっただろ的な無意味な謎になった。

・トゥスクルに落ちたと思われたムネチカがしれっと無事だった。
個人的には嬉しいけど、殿を務めて部下を逃がした一連の流れが台無し。まああの逃がしシーンも橋とっとと渡れよとか不自然なシーン沢山なんですが。

・オシュトルが死んだ事は誰にも話せないと言う言い訳。
これは原作以上に不自然。原作と異なり、クオンにハクが単身話せる場面など沢山あった筈。何で「誰にも話せない」の?何で仲間に頼らないの??と言う根拠が原作以上に出来ていない。
原作感想同様に繰り返すが、彼らは秘密を共有できない様な仲間たちなのか、と問いたい。「偽り」の秘密を、クオンとの別れと言う結果を重視する余りに、不自然としか言い様のない流れになって仕舞っている。アニメでもそれに対するフォローは無く、それどころか益々に減っている。フォローしようがなかったとも言えるが。

・エントゥアは…?
原作でオシュトル>ハク変化を見ていたと思しきエントゥアがすっかり忘れられているし、現場を目撃も出来ていない。


……………二人の白皇をアニメ化する時はもうちょい気遣って下さい。