Story/モエかん
モエかん各ルートネタバレ解説と一部余計な考察やメモ。
※現状自環境でで読み直しの出来た、コンシューマ版及びモエかすを参照。

攻略ではありません。
ほぼほぼ読み直しメモとその注釈程度であり、個人的な感想文の様なものでもあります。
ストーリーラインをその侭追うのではなく、解り易さの為に謎の解答などから先に書かせて頂く事もありますので、物語を楽しみたいと言う場合にはご注意を。
飽く迄いちファンの個人的な理解の範疇ですので、公式の見解とは異なる点も多々あるだろう事を予めお詫び申し上げます。

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 ●命篇(コンシューマ版追加シナリオ)
PS2版及びDC版にて追加されたヒロインである萌野命のルート。
命の容姿は同社作品である二重影に出て来る同名キャラのセルフパロディとなっており、なかなかにファンサービス感の強いキャラ。
とは言え適当なヒロインと言う訳ではなく、モエかす発売前のコンシューマ移植当時では、ALICE IN CHAINSまわりの設定を強化してくれる唯一のシナリオでもあった。

但し、設定は本作の深い部分に関わる要素から来ているが、その登場やシナリオの流れ自体は基本ほのぼのとしたものであり、命自体の登場も遅い為に、少々中途半端な印象は否めない部分もある。
その分、島の日常風景などの描写は多く、ゆったりとした緊張感の無い中盤から、終盤には一瞬で転げ落ちて一瞬で終わって仕舞う。

然し前述通り、ALICE IN CHAINSの設定がはっきりと表現されている事で世界設定の補強がされており、貴広に執着し敵視する飯島の心理も伺える、敵役として充分なものとなっている。

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・命篇※ネタバレ含む大まかなストーリー

平和な島での日常の最中に、突如ALICE IN CHAINSの朝霧一紗を名乗るメイドが訪れる。
霧島曰く、どうやら彼女が本物の「あさぎりかずさ」であり、今この島に居る「朝霧かずさ」はそれを騙る偽物であり、粛正対象となる不審なメイドだと言う。また、所属不明のメイドである鈴希もそれと同様の扱いとなった。
神崎所長の命を狙う者かも知れないと言う真っ当な朝霧の言い分もあり、朝霧が三日間この2563号島に滞在して偽物の「朝霧かずさ」と鈴希とを捜索する事を渋々承諾する貴広。

貴広と霧島は、かずさが間者や暗殺者だとは到底思えないと言う意見で一致。鈴希に関しても怪しい所はないと二人は確信していた。
朝霧によって宛われた護衛メイドの所為で自由に動けない二人だったが、幸いにか、かずさも鈴希も神出鬼没な所があるし、今は身の危険を感じて隠れてくれたのか、その辺りをふらふらしている様子はない。

貴広は十年前の知識からALICE IN CHAINSをただの強化戦闘メイドの集団であり、飽く迄一般向けの粛正に対応する程度の大した事のない組織と見ていた。
然し朝霧の様子から、飯島がトップになってからは少しその様子が変わった様だと認識を変えざるを得なくなる。

結局、朝霧は成果を上げられぬ侭帰投する事となった。
貴広がカンパニーに造反し、粛正対象メイドであるかずさや鈴希を隠しているのは明らかだと朝霧は確信している様だったが、証拠が無い以上はどうしようもない。
朝霧が帰った途端、かずさや鈴希は厨房で食事を摂っていた。隠れていてお腹が空いたのは解るが、それにしても緊張感のない話である。
他のメイドたちも彼女らを心配していた為に、その無事に安堵し、その日はちょっとしたパーティの様な様相となった。

翌朝、貴広は飯島からの電話に起こされる。電話の用件は当然の如くに、先日の偽かずさと鈴希の件だった。
貴広は飽く迄白を切るが、貴広が二人を庇っているのは間違いないと朝霧同様に飯島も確信していた。
《ALICE IN CHAINSをなめるなよ…。貴様は翻弄する事は出来ても、引き摺り出された者を助ける力などないのだから》
二人の不審メイドを突き出す準備をしておけと言い残し、四日の猶予を宣言して飯島は電話を切った。

飯島がどう出るのかは解らないが、四日の間に打てる手は打った方が良い。その後毎日の様に飯島からイヤガラセじみたカウントダウンの電話がかかって来るのを貴広はからかったり翻弄したりするが、その頭の中では、飯島やALICE IN CHAINSがどう出るのか、彼らの思惑や動きを推測し、それに対抗する術を延々と思考し続けていた。
貴広の友人こと、PIXIESを使えばもっと楽に情報を得る事が出来るだろうが、それは飯島が恐らく最も注意を払っている部分だ。寧ろ貴広にその手段を取らせる為に、電話を繰り返したりして焦らせているに違い無い。
態度や口に出さずとも、貴広はいざと言う時に自分が何を出来るのか、何ならば出来るのかと言う事をずっと思い悩んでいた。
迫る不穏な空気に貴広はつぶやく。
「平穏な日々と言うのは、簡単に壊れるな。もっと大事にしておけばよかったよ。過去の清算をするにも、額が大きすぎるな」
凄惨な過去の中を生きて来た貴広にとっては、この島での何気無い日々とは余りに当たり前の様に存在する幸福の肖像だったのだ。

然し最後通告の日から数日、飯島から連絡の無い日が続いたかと思えば、島にまだ幼そうな少女が突如現れる。その服装は間違いなく、ALICE IN CHAINSのメイド服。つまり、どんな姿形をしていても、取締役会の擁する粛正部隊のメンバーと言う事だ。
警戒する貴広たちだったが、笑顔で駆け寄って来た少女は「青い鳥を見なかった?」と暢気な問いかけを投げる。
意味が解らずぽかんとする貴広。そんな貴広を平然と「おじちゃん」呼ばわりをした少女は、萌野命と名乗った。
まずはおじちゃん呼ばわりを訂正すると、今度は貴広と呼び捨てにされたが、おじちゃんと呼ばれるよりはマシだと諦める。
青い鳥を探して来た。途中で会った人は皆意地悪だった。そんな事を言う命の話はいまひとつ要領を得ず、彼女がどこからどうやって何を目的に来たのかも解らない侭、飯島に連絡がつくまで取り敢えず身柄をこの島で預かる事にする。

ALICE IN CHAINSの一人として命は確かに警戒すべき存在だ。不在だと言う飯島の動きも不明な侭で、何が起きているのか解らない。
貴広は他者の心と共感する能力を持った冬葉に、命に対する見解を求め、冬葉は命の事を、心の痛みを知らない純粋な子供の様だと語る。心の澱みの様なものも確かに感じるが、それは本人ではなく本人に近い何処かに在るとも。

数日まったりと過ごし、貴広は命に気に入られて仕舞う。
命は何故青い鳥を探しているのだと言う貴広の問いに、幸せになる為と答える命。
貴広と霧島は暫く命の行動を疑いつつ観察していたが、どうやらかずさや鈴希を探している訳でも無いらしく、貴広と二人きりにしても危害を加えようとする様子すらない。
丘で遊ぶ内に眠って仕舞った命を抱っこして運ぶ羽目になった貴広は、「子を持つ親の気分だよ…」と思わずぼやくのだった。

青い鳥と言う抽象的で大きな幸せを探し、見つからない事に消沈している命に、貴広は小さな青い鳥──幸せを探すと良いと教える。
「まとまった幸せもいいが、一つ一つ小さな幸せを積んで行くのも良いぞ。子供の頃から大きな夢に挫折するより、小さな夢に笑っていたほうがいい。特に命の笑顔は人を癒すらしい」
説教臭くなって仕舞ったが、お前は笑っている方が良いと言う事だと言い添える貴広に、何だかよく解らなかったけど元気が出たと笑顔になる命。

飯島には相変わらず連絡が取れない。ずっと外出中と言う事は、酷く奔走していると言う事だ。それまでは貴広に毎日の様に電話をかけてくる様な暇そうな様子だったと言うのに。
何かとんでもない事がALICE IN CHAINSで起こったのだろうかと訝しんだ貴広は、情報収集の最中に付近の島が幾つも消滅している事を知る。
極東日没でも現れたのだろうか。だが、それにしては本社が静か過ぎる。
連絡の取れなくなっている島を地図上で記して行くと、その先は綺麗なラインを描いて2563号島へ。逆側は、ALICE IN CHAINS本部へと繋がっていた。
命が来るのと同時期の出来事に、彼女がこれをやったのかと言う疑念が生じる。ALICE IN CHAINSにいる、それだけの力を持った者──まさか命がALICE Firstなのかと問う貴広におやじさんは、ファーストは言葉の通じる様な存在ではないと答える。
霧島は、セカンドアリスの可能性を呟くが、命がセカンドアリスであったら、厳重管理と共に絶対服従の身にされているはずだ。

会議が終わるなり、遊ぶ約束を待っていた命と遊んでやる貴広。あやとりを教えながらさりげなく、ALICE IN CHAINSで何があったか知らないかと問いてみるが、わからないと答えられる。
すっかりと懐いて仕舞った命に「パパ」と呼ばれ驚く貴広。命に父親はおらず、本で読んだ父親の有り様が貴広にぴったりなのだと言う命。

ALICE IN CHAINS本部が壊滅している映像を見つける貴広とおやじさん。
ALICE Firstの暴走だろうかと言う貴広におやじさんは、ファーストの封印されている地下隔壁から爆発は起きていないと分析する。これはもっと上の階層で起きたものだと。
ともあれこの惨状では飯島もイヤガラセの電話などしている余裕がある筈もない。
その飯島はどうやら海兵部隊を集めているらしい。どこかに戦争でも仕掛ける様な勢いで、かなり大がかりに動いている様だ。
ALICE IN CHAINS本部がこのざまで、人員の多くが使い物にならないから、戦力になる兵士を集めているのだろうか。
と、なるとそれは貴広に絡んだ事の可能性もある。あのイヤガラセ電話で言っていた最後通牒を、この騒ぎに紛れて行おうと言う算段なのかも知れない。

破壊されたALICE IN CHAINS本部。2563号島まで一直線に消えた島々。飯島の兵隊集め。
それらを重ねて見ると一つの画が出来る。
本部を破壊して逃げ出したセカンドアリスを──命を捕まえようとして、然し島々は返り討ちにあった。
そして今飯島は、そんなセカンドアリスを粛正、或いは取り戻す為に兵力を集めているのではないか?
命には逃亡者と言う雰囲気はない。素で無邪気なだけの性格と言うにしても妙だ。

朝になって、艦隊が2563号島近海に展開していると言う報がもたらされる。
やがて空母から飛び立ったヘリが到着し、飯島が大勢の足音を引き連れてやって来た。
兵士達はARを装備し重武装の姿。飯島は威圧的に命に帰る様言うが、命は「やだ!パパと一緒にいるもん!」と反抗。
その言葉に飯島と霧島が凍り付く。
「「パパぁ?!」」
相性の悪い二人の声は綺麗に唱和し、互いに口を開けてわなわなと震え、今にも卒倒しそうだった。
「…落ち着けって。単純に父親を俺に投影しているだけだ。血が繋がっている訳じゃない。飯島が一番解っているだろうが」
命の口から出た言葉の衝撃に、思わず色々と我を忘れて仕舞った飯島だったが、貴広にそう言われて何とか冷静さを取り戻す。
命を懐かせ何をする気なのだと問う飯島に、貴広は、命がセカンドアリスだからそんなに慌てているのかと鎌を掛ける。そして飯島の反応で貴広はその推測が正解であった事を確信した。

命は帰りたくないと反抗するが、飯島は、命にかけた金と、今回の被害の甚大さを解っているのかと苛立ちを露わに言う。
あれだけの大破壊をしながら、命にはやはり罪悪感もその意味も解ってはいない様だった。
貴広は飯島に、命が粛正対象には無い事を確認してから、罰に対する赦免を求める。
命の心はまだ幼く、善悪の区別もついていない様な状態。そんな子供にそんなに大きな力を持たせ、手を血で汚させたのだから、ALICE IN CHAINSに起きた被害も全て自業自得だと。
貴広の言葉に、飯島は然し感情的に反論する。
命は自分が心血を注いだALICE IN CHAINSの最高傑作。それが嘗てのPIXIESや神崎貴広だろうが殺す事が出来る。だから人形は人形らしく言う事だけを聞いていれば良いのだと。
流石に諫める貴広にも、いつまでも上司面は止めろと言い返した飯島は確認させる様にゆっくりと言う。
今の、お前には、この人形を、助ける力も、権限も、持たぬのだ、と。

飯島の命令で兵士たちが動いた。貴広と霧島にARを向け、命を拘束し、貴広も飯島の銃に腿を撃ち抜かれる。
その瞬間、命の身が闇に包まれ、兵士たちは瞬く間に肉塊に変わった。発砲すれども全て防がれ通じない。
それを目の当たりにした貴広は怪我の痛みも忘れて飯島に掴みかかって問う。あれは、漆黒ではないか、と。
命はファーストアリスの研究から生まれた強化人間。そもそもファースト自体が、貴広の因子──つまりはナーサリークライムの力を持った人造人間だったのだと答える飯島。
(実際は貴広の分身だけど、それは流石に知らされていない模様)
つまり、ALICE IN CHAINSは全て漆黒の、貴広の力に因って強化人間とされた者たちの組織と言う事になる。愕然とする貴広に飯島は笑って続ける。
「その話を聞いてから、俺は貴様のその驚く顔が見たくて堪らなかったぜ。のんびり隠居を決め込むはずが、貴様の力はアリスと名を変え、人を殺し続けていたのだからなぁ」
命は、幼児期の人間の性質を分離させる事によってその制御に成功した。言うなれば正と負の心。漆黒を負の心に置いて、正の心で制御する。漆黒はストレスと言う負の感情を喰らい、その力を更に強める。それを解き放つだけでその力は、何の躊躇いもなく人の命を奪ってくれるのだと。
到底人間の所行とは思えぬ飯島の言葉に、貴広は言葉を失う。
命は自分の血を見る事で戦闘用人格が起動するのだが、貴広の血に反応して起動して仕舞ったのだ。誤算だったが丁度良い。命に向けて、腑抜けた貴広を葬る命令を飯島は出すが、それに返ったのは飯島の腹を貫く漆黒だった。

まだ遊び足りないと壊れた笑いを浮かべながら、命は所長室の屋根をぶち破って、近海に展開している艦隊の殲滅に入った。
貴広は霧島に、職員のシェルターへの退避を発令。そこに駆けつけた冬葉に飯島ともども手当をして貰い、疲労した冬葉と気絶している飯島とを霧島に任せて、貴広は命を止めに向かった。
今の自分にあれを止められるかどうかは解らない。だが、命に与えられて仕舞ったのは紛れもなく貴広の力だ。だから止めるのは義務の様なものだと言って。

漆黒の渦巻く中で命はただ楽しげに笑っていた。その手が振るわれる度、漆黒の刃が戦闘機をパイロットごと粉砕し、艦を沈めて行く。弱者を強者が踏みつける理の侭に。悪気も罪悪も痛みも無く。
艦隊の動きから、核の使用を察知する貴広。そんな事をされたらこの島が滅んで仕舞う上、そんなものではナーサリークライムの力を止められる筈もない。
ヘリポートで待っていたおやじさんから、小型で機動性の高いヘリを借り受けた貴広は、それに乗って命の元へと向かった。
命が振るう漆黒の刃が貴広を仕留めたと思ったその時、(貴広視点ではないので恐らくだが、)漆黒を自分の支配下に置いた貴広は命の前へと到達する。
突然の事に命は動揺する。今命を包む漆黒はさっきまでのものとは違う。もっと大きな、自分のものではないなにか。
目の前の貴広を恐怖や畏れの中で拒絶しようとする命。
「あなたは…ナーサリークライム…水の者…黒の者…世界の根源に関わる者…」
命の手を取った貴広は、俺を思い出せと言う。手から伝わる温もりの中、命の正の人格が戻ってくる。
命の正の人格は他者からの負の感情をただただ畏れ怯えていた。負の人格で力におぼれながらそれを振り払う事しか出来なかったのだ。そんな命を貴広はやんわりと諭す。
「それは怖くても忘れてはいけないんだ…。憎しみを受け止め、相手の事を考えることが大人への第一歩だ。そうすればこんな力に頼る必要はなくなる。分けられた心も元に戻る」
そんな感動の場面だったが、二人の身体は中空から真っ直ぐに海面へと落下していた。
二人は海に落ち、派手な水しぶきを上げた。

海に落ちた貴広と命は、おやじさんや霧島に助けられたらしい。
核ミサイルの使用も途中で中断され、その裏ではN Girlの介入があったとかなかったとか、そんな噂だけを聞いた。
命の身柄はALICE IN CHAINSに戻される事になったが、今回の一件によって上層部にも武力一辺倒のALICE IN CHAINSの姿勢を見直す声が上がった。
貴広は、た青い鳥のラストで青い鳥はいなくなった訳ではなく、次の者に幸せを与える為に行ったのだと説明する。
「幸せを見つけた者は、幸せになる努力をしなくちゃいけない。大切な人も幸せにする努力をしなくちゃいけない」
自分が青い鳥にならなければならないのだ。
命の力は全て貴広が引き受け、戻ったとALICE IN CHAINSには報告してある。
貴広は命と再会を約束し、暫しの別れを告げるのだった。

それから一週間が経過した。
力を失った命をALICE IN CHAINSがどう扱うかと言う懸念はあったが、命が破壊した島にも犠牲者は奇跡的にいなかったと言う、そんな馬鹿な的な状況も明らかになった。結局死傷者を出したのは飯島の連れて来た軍勢にとどまった様だ。貴広曰くの「自業自得」と言うやつだ。
そこに飯島から電話がかかってくる。曰く、萌野をそっちに送った。と。
あいつは力なんて失っていないぞ。俺にはもう手に終えん。一から研究のし直しだ。そう愚痴る様に言うと最後に、
《貴様もそんなところに閉じこもっていないで、あのガキと世界をひっくり返してみろ、くそったれ》
そんな、ヤケクソの様な言葉を寄越した。
そこに命が満面の笑みと共に、ただいまと言って入って来る。来る前に飯島シツチョーに会ったら「もういい、どこでも行け」と言われたのだと。
 力は失ったのではないかと言う貴広に、飯島からの伝言として命は「子供の心を無くさなければ力は消えないって。それを貴広に言っとけって」
 言って命は、得意げに笑ってみせるのだった。

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・命篇まとめと補足

本編では半ば空気で、朝霧ぐらいしか出て来なかったALICE設定とALICE IN CHAINS設定の補完用のシナリオ…と言う扱いのシナリオと言って良い。
このシナリオでも、本篇中に登場するALICEとして朝霧も顔出しするが、寧ろ出さない方が優しさだったのでは感あるぐらいのただの負け犬扱い。遺憾。

当然ながらALICE IN CHAINSのトップを務める飯島との関わりもしつこいぐらいに描かれ、貴広が飯島の事を未だ嫌えてはいない様子や、飯島が貴広に拘り続ける様子も他篇より細かに描かれている。
飯島が貴広を超える為にALICE IN CHAINSに心血を注いだと言う流れも、それゆえの非人道的なALICEメンバーの作成や制御方法もその一端が語られている。
……のだが、『本体』に近い貴広に出血させて命を暴走させて仕舞うとか、実は当の飯島自身が色々把握出来て無かったのでは…と言う疑惑は残る。

モエかすで登場した3rdを実質越える2ndである命を中心とした物語であり、貴広との関係性はまるで親子の様。終始展開は穏やか。焦臭くなるのは最後の最後のみ。
最終的に命の漆黒の力は「克服するもの」として残り、消えなかったと言うのは若干納得のいかないかも知れない所。完全分化のFirstならまだしも、命は人造人間か改造人間なのは間違いないので、3rdの例を見ると望まずして碌な事にはならない気が…。
それも「子供の心を失わなければ力は消えない」とか飯島が言っていたと怖ろしい事を言われるので、実は貴広としてはかなり怖ろしい爆弾を抱えて仕舞ったのではないだろうか…。

なお、命の漆黒を自らに取り戻したと貴広が言っているので、このシナリオでも実質ナーサリークライムとして貴広は復活(まだ大分しょぼいだろうけど)している。

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