私の罪は千二百年 / 2



 山道を漸く二人が抜ける頃には、ずっと夜目を利かせていた気配は姿を眩ましていた。憚る必要は最早無かったのだが、それでも何となく両者共に無言の侭、ムツキに指定された目的地へと辿り着く。
 道を尋ねたあの商店から一つ登った集落。山間にぽつりぽつりと人家のものらしき灯火が見て取れる。畑や庭(山)を隔てている為隣家と云えどそれなりの距離がある様子は狭い中に家々や高層マンションのひしめきあっている都会とは偉い違いだ。
 その内の一軒の前に辿り着くと門前の番地と指示書に記されたそれとを確認し、ヤクモはマサオミへと頷きひとつで太鼓判を押して寄越した。「その辺りに停めてこい」とバイクを指して云うと、門扉を潜って家屋の敷地内へと立ち入る。
 家は少々古そうではあったが広く、少々土地を遊ばせている感が強い。玄関の前には『集会所』と表札があるが、どうやら一般家屋を改修し集落の財産として利用している様で、ぱっと見は普通の家屋にしか見えない。
 家屋の横手にバイクを停めたマサオミが視線だけで問うが、ヤクモはそれを黙殺して(或いは気付かずに)玄関の引き戸に手をかけた。立て付けが悪いのか、少々引っかかりながら扉が開く。
 「御免下さい」
 声をかけて二人が広めの三和土に入り込むと、灯りの点いた部屋から高年の老人が顔を覗かせて来た。薄くなった頭の目立つ老人は暫時、若い二人の男をきょとんとした様子で見比べていたが、やがてそれが不躾な行為であったと気付いたらしい。慌てて出て来る。
 「これはこれは。遠い所をわざわざご苦労様でした。夜の山道は危険だったでしょう。どうぞどうぞ、上がって下さい」
 「連絡は既にそちらに行っていると思いますが──、MSSからの者です。長時間お待たせして仕舞った様で申し訳ありません」
 「ああ……、いえ、どうぞお気になさらないで下さい。取り敢えず奥へ…」
 まさか未成年が二人連れ立って来るなどとは想像もしていなかったのだろう。綺麗な姿勢で頭を下げるヤクモへとお愛想めいた会釈を返すと、中へと促して来る老人に案内をされる形で二人は家屋へと上がり込んだ。
 集会部屋とでも云うべきか、上がるなり畳張りの広い部屋が二人を迎え入れる。内部面積は広いが家屋の部屋を幾つかぶち抜いて無理矢理に集会所の体裁を整えた感が強く、一般家屋です、と云った外観の様相から比べると違和感を憶えて仕舞う。折り畳みの低い長テーブルが部屋の隅に畳まれ所在なさげに置いてあるその横には座布団が多めに積んであり、それらとは別に部屋のほぼ中央に古い欅材の立派な卓が席を整えた状態で一つだけ出してあった。これだけはひょっとしたら元々この家にあった家財なのかも知れない。
 老人はこの辺りの集落の代表役員であると自らを紹介したものの、訪問客の正体が余りに予想外だった事に動揺しているのか、それとも疑ってかかっているのか、茶を供す事も忘れ、ちらちらと横目でこちらを伺って来る。
 「それで、その……」
 「これが関係省庁からの通達です。どうぞ改めて下さい」
 腰も下ろさず、件の事務用封筒の中から特別ぶ厚いファイルを取り出し老人へと手渡す、完全に余所行きのヤクモの横顔をちらりと見上げながら、マサオミは黙って並べられた座布団の上へと勝手に上がり込んだ。
 卓上を一瞥するが茶器の類は残念ながら見当たらない。台所に勝手に探しに行っても良いものかと老人の方を伺い見上げるが、彼はファイルを熱心に凝視しておりそれに気付く素振りも見せない。
 まあ無理もない話である。土地柄や集落の様子を予め調べ、ここまでざっと見て来たが、この辺りは典型的な第一次産業に従事する人々の暮らす田舎だった。目立った特産品や観光の目玉があるでもなく、住民の殆どが壮年以上の者ばかりだ。
 恐らくこの老人も日頃は、役員と云う役職にあれど精々自治体の会合に出席したり有事の際に集会所に詰めたりする程度の務めしかこなしていなかっただろう。
 それが突如、集落の属する自治体から、更に『上から』を示唆する通達を──しかも大凡己には無関係だろうと思える様な規模の角度から──受けたのだから。
 何か誤謬でも探すかの様に熱心にファイルを捲る老人の姿を今一度見上げてから、マサオミはそっと席を立つと見当をつけた台所の方へと向かった。
 

 闘神士(ないし『こちら』の陰陽道に属する者ら)とは基本的に、人々の裏、歴史の裏で活躍を続ける者の事を指す。
 実際発生した当初はそれでも問題は無かった。式神や術を操る謎の人々。時折民衆の噂に上る程度の存在。
 だがこの大陸の各地に支配者──朝廷が生まれてからはそうもいかなくなった。支配者達にとって強大な力を有する闘神士とは民草の『噂』などでは済まされない、自らの地位をも脅かす存在でしかなかったのだ。
 支配者達に与えられた選択肢は二つ。一つは闘神士を全て滅亡させる事。そしてもう一つは、闘神士を利用し自らの傘下へと加える事。
 式神や術と云う、人の分を遙かに超えた権能を持つ闘神士に対し、彼らが取った選択は後者だった。その事実は歴史に於ける中務省の陰陽寮(表向きには占事を取り扱っていたが)などでも知れる通りだ。
 然しその事が原因で戦乱に多くの式神が巻き込まれたその結果、マサオミも知る、太極の滅びをも起こしかねない嘗ての悲劇が起こったのだ。
 この悲劇を深く悔いた闘神士達は(天地流派はこの後ウツホを騙し捕る所行を為した訳だが、式神を戦乱へ巻き込む事は正しくないとは既に禁忌として断じていたらしい)、以降完全に歴史の裏へと自らの所行を隠すに至った。
 然し時が近代へと近づくにつれ、各地で統制なくバラバラに生きる事は理に適わないと見る者らが増えて来た。幾度もの戦乱を経て混乱に満ちた大陸では散発的に妖怪やそれに類する異変が起きていた事もあり、闘神士らは再び結託する事を選んだのだ。
 特に、嘗て地流に因って宗家を失うと云う最大の苦渋を呑まされた天流の結束力は固く、集結した彼らが組織として機能をし始めるのは必然であり時間の問題であった。
 こうして、一部の理解あるスポンサーを得て結成された天流組織は、当初は社会の裏のみに潜む心算だったのだが、国は古来の記録より陰陽道や闘神士と云うものの存在を公然にではないが知り認めていた。そして、散逸した闘神士の個人個人であれば放っておいて問題はないものの、それらが組織立って仕舞えば厄介な勢力になる事は確実であると見て、口出しに出たのだ。
 そこで国と天流組織での極秘の話し合いが持たれ、国は基本的に闘神士の行う事に口出しはしないが、闘神士達に国の憲法に、社会の法に従い生きる事を命じた。その代わりその存在を秘匿し、必要ならば彼らの所行に便宜を図る、と云った事が幾度にも渡る合議の末に確約される事となった。
 早い話が闘神士は、式神をも害せる近代兵器と社会とに脅迫されたのだ。その存在を、使命を看過される代わりに、国民として働き、国家を、社会を、人の遵守すべき法を裏切るなと厳命されたのである。
 天流組織は以降、太白神社と云う組織体系を得る事となり今日に至る。(余談ながら地流はその頃未だ結束を結ぶには至っていなかったのだが、後にミカヅチが政財界に迄影響を及ぼす一大企業ミカヅチグループを興した事でそちらは抑止力が効かず独立体制となった)
 その為、命令系統などは事実上全く無いのだが太白神社は一応宮内庁の秘匿部署である神霊科に属している事となっている。なお神社の体裁であっても厳密に宗教施設ではない為、神社庁とは友好関係ではあるが所属下ではない。その為に太白神社の支殿は地図には記載されていない事が殆どである。
 とは云え確約された権限は権限である。きちんと手順を踏んで『上』に上申さえすれば、闘神士としての任務遂行に必要とされる措置は執ってくれる。例えば早急に付近住民に危険を促す必要性のある時や、どうしても過去の事件を洗わねばならず公的資料が必要な時など。
 今回の事件の様に、土地そのものに事件との因果関係を見出す必要性がある場合──しかもケースは準未知の分類に入る──も矢張り、その権限を借り受けるに値していた。
 既にMSSに因って、当該神社敷地内と鬼門の影響調査時に於ける障碍の発生と云う名目での捜査及び介入の特権的許可は下りているが、ヤクモは再度ムツキへと現地の詳細な調査(歴史的分野含む)を依頼しておいたのだ。
 そんな経緯で、夜遅くにこうしてわざわざ村の役員が駆り出されて来たのである。流石に鬼門だの闘神士だの行方不明だのと云う仔細までは伝えられてはいないだろうが──恐らくは土地或いは何らかの事件の調査とでも云う名目になっている筈だ──、間接的とは云えわざわざお国からお達しがある程である。一体どんなお役人が何をしに来るのかと思いきや、蓋を開ければ未成年二人では、それは拍子抜けもするだろう。何かの嘘や冗談ではないかと穿って見たくもなると云うものだ。
 「普段は概ね自由にやらせて貰っているが、事が大きい時は形式に則った方が寧ろやり易い事もある」と云っていたヤクモだが、実際何にも煩わされず伏魔殿の調査などをしていた背景は彼自らの奔放な性格に因る所が大きい。その為にこう云ったお役所的な遣り取りにはうんざりしている節が時折見受けられる。
 今回はヤクモ個人への依頼ではなくMSSからの委託であり、且つ前例の無い事件だ。既に七名が行方不明になっている現状では単独で渦中に挑むには危険過ぎるのも事実。因ってうんざりしつつも大人しく手順を踏んでいるのだろう。
 集会部屋から漏れ聞こえる確認の遣り取りを耳にしながらそんな事を考える間に、マサオミは流しの下に仕舞い込まれていた薬缶をなんとか発見し火にかけたは良いが、今度は茶葉らしいものが見当たらない事に困り果てていた。ひょっとしたら集会の度誰かが外から持ち込むとでも云うルールになっていたのかも知れないし、或いは何処か別に仕舞ってあるのかも知れない。取り敢えず捜索の手の届く範囲には見当たらないと云う事だ。
 余り量を入れなかった所為か、茶葉を捜索する間にお湯が沸いて仕舞った。火を止めて溜息一つをついた所で、居間から三和土へと辞して行く老人の声と彼に礼を述べ送り出すヤクモの声とが聞こえて来たのを契機に、マサオミは物色を止めて台所を出る。
 「白湯で良いか? って云うか他に選択肢が無いんだけどな」
 丁度三和土から上がって来たヤクモにそう云えば、彼は苦笑の末荷物の中からお茶のペットボトルを取り出しマサオミへと放って寄越して来た。貼られていた値札シールを見れば、夕刻道を尋ねた店の名前が書いてある。いつの間に購入したのやら知れないが、用意周到な事である。
 「流石慣れてるな」
 「コンビニも無い様な地方に出て行く時は、基本だから覚えておいた方が良い。夕飯の方は今回は用意してくれる手筈が整っていたが、普段はそうそう無い事だ。調達する必要性がある物は道中早めに準備ないし、最初から用意しておく事」
 マサオミが感嘆して呟けば、そう得意げでもない表情で訓辞の様に返して、ヤクモは部屋の隅に置かれていたビニール袋を卓の上へと乗せた。説明される迄もなく、これが件の夕飯なのだろう。如何にもお役所が用意したと云った風情の、無難な幕の内弁当が二つ入っている。
 こう云うのも含めて、現代の闘神士の『お仕事』なんだなあと感心半分諦観半分に思いながら、くたびれた座布団にマサオミは再び腰を下ろす。卓を挟んで座ったヤクモの方はと云えば、先程の老人との遣り取りで得たのだろう、新たな書類を前に真剣な面持ちで居る。
 「で、今度は何だって?」
 「余り明るく無い事が二つ。だがそれよりも、こう云った田舎の閉鎖社会で、しかも宗教に絡む事だと存外圧力には応じず口を噤む者が多いから、寧ろそれを懸念していたんだが、話を訊く限りではそう云った様子も無さそうだったからな。そちらの方面では苦労はせずに済みそうで良かった」
 「完璧に俺達を子供だと舐めてた気はしたけどな。あのご老体は。闘神士には年齢なんて関係無いんだよと云ってやりたくなった」
 「ま、お国もお役所も基本的に闘神士の要請に協力を惜しまないその理由は概ね、化け物の面倒は化け物が見ろと云った所だからな。末端の一般人に真実を話した所で理解される事など先ず無いさ」
 そう云う意味では彼の見方は一般的に正しい、と肩を竦めて続けると、ヤクモは卓の上に件の弁当を拡げ始めた。自然とマサオミもそれを手伝って、簡素な夕食の時間になる。
 「明日は夜明け前に鬼門へ向かう事にしよう。だから少々早いがとっとと食ってとっとと休もう。それと、ここは風呂が使えるらしいから有り難い事と思って利用させて貰うと良い」
 「集会所なのに風呂があるって妙な話だよなぁ。空き家だか廃屋だかを改修して使っているっぽいが、元々結構良い家だったみたいだしな」
 ぱん、と割り箸を指に挟んで「いただきます」のポーズで云うヤクモに、マサオミはこつこつと欅材の卓を叩いて云う。家ばかりではなくこの家財だったと思しき卓もかなり良いものだ。空き家にしておくには確かに勿体ないとは思うが、果たして家主はこれだけの『財産』を何故丸ごと村の共有施設にしたのかいまひとつ知れない。
 するとヤクモは箸を持ったのとは逆の手で、自らの横に並べてあった書類を一枚抜き取り、無言で卓の上へと滑らせて来た。白いA4の紙につらつらと細かい文字で記された文字は、書類や抜き出しからのコピーらしく、少々掠れて読み辛い。
 「? ……………おいおいこれって」
 然しその読み辛い文字をわざわざ全読せずとも、ヤクモの示したかったのだろう一文は存外早くに目についた。新聞か雑誌のその侭切り抜きなのだろうその箇所は、何処か面白可笑しく煽り立てる様な文句を、他より大きいフォントで記していた。
 「『神隠しの森再びか?二十年前と類似した行方不明事件起こる』」
 記事に書かれた日付はごく最近だ。とは云えMSS隊員の失踪よりは二週間ほど前になる。
 行方不明になったのは三十代後半の女性。件の神社の付近で目撃されたのを最後に行方を眩ませていると云う。捜索がされたが痕跡ひとつ発見出来ず、昨年夫の急死を経ていた為、自殺や自意識での失踪ではないかとも取り沙汰されている様だ。
 「二十年前の事は事前調査不足と云えるかも知れないが、その記事はローカル誌のものだそうだ。ここ五年間ばかりの計画で付近の山林を拓いた大がかりな観光地の誘致を行う都合があるらしく、マイナスイメージの問題もあって都市部での一切の報道はされなかった。最近の話だと云うのに現地に来るまで調べがつかなかったのは致し方ないな…」
 そう云うとヤクモは冷めた白米にさくりと箸を入れるが、それ以上は動かずに肩を僅かに落とす。その行動が溜息の代わりの様に見えて、マサオミは書面と、斜めに目を伏せたヤクモとを見比べた。
 実際焦燥を感じる程の空隙があった訳でもない。だが冷めきっているとは云え食事を前に沈黙を挟み続けなければならないと云う事自体がそもそも気まずいものを覚えずにはいられない。マサオミが件の記事とヤクモの云い種から導き出した結論を述べようと思った丁度その時、先に口を開いたのは結局ヤクモの方だった。今度ははっきりと、溜息を伴って。
 「……つまり件の鬼門付近には一般人を、少なくとも最近と二十年前との二度、巻き込むに至る異常をもたらした前科があり、ついでにお前の疑問に答えるならば、この家はその二十年前に行方不明になった人が住んでいたものだそうだ。他に身寄りも無く、三年程前に地主の提案もあってこの家を集会所として改築し利用を始めたと云う事だ」
 だから何となく一般家屋っぽい雰囲気なんだろう、と続けるヤクモに、マサオミは一瞬面食らってから箸を噛んだ。
 「……………………いや重要なのは寧ろ前者だろ」
 承知ではいたが一応突っ込めば、「当然だろう」と憮然と返された。
 二十年前にひとり。そしてついぞ一ヶ月にも満たない間にもひとり。因果関係があるかは兎も角、今回行方不明になった闘神士達と同じ様に行方を突如眩ませて仕舞った者たちがいる。しかもそれは一般人と思しき。
 闘神士や術者とは無関係に、一般人まで被害に遭っているとなれば状況も推論もまた異なる。先程通り道で『覗き見』をしてきたのが何者であるかは知れないが、やって来た闘神士を畏れ撃退したのと、一般人を巻き込んだ──或いは敢えて狙った──のとでは話が違い過ぎる。犯罪の程度も無論違い過ぎる。
 闘神士や術者である以上、それに類さない一般人を巻き込む事は、国の制約を受けずともそもそもの禁忌だ。況して己の持つ権能で力無きものを害する事など言語道断である。
 例えば『犯人』が鬼門の付近に潜み何かを企む者であったとして。『何か』を目撃した一般人を害したか、或いはそれこそを密やかな目的にしている者であったとすれば──それは『逸脱者』である可能性もあり得る。閉鎖された地で、情報が余所に行き届かない事を良い様に犯罪行為を繰り返していた者も過去の例にはあった。
 巡る想像に自然と物騒な表情になるマサオミを軽く一瞥すると、ヤクモは寧ろこちらは落ち着いた風情でジーンズのポケットから携帯電話を取り出した。が、直ぐに渋面になり、電源を切るとやや乱暴に鞄に突っ込む。どうやら圏外だったらしい。一応マサオミも己の携帯を確認してみるが、電話会社が同じなだけあってこちらもやはり圏外だった。
 文明は便利になったのか、便利さが容易く失われれば不便さの方が極まって見える事実は果たしてどうなのかと、取り留めもなく考える。
 「朝一番、調査に出向く前にムツキさんにこの事を連絡しておいた方が良いな」
 そう短く呟くと後は何も続けず、ヤクモは黙々と食事を開始する。その表情は怒っている様にも落ち込んでいる様にも見えて、マサオミは居た堪れない心地になった。
 吉川ヤクモと云う人間は、人の悪意を疑うぐらいであればそれ以外を肯定した方が良いと心底思っている様な人格の持ち主である。それは疾うに理解出来ていたから、マサオミにあるのは寧ろ懸念だった。
 人為らしきものが敵である。それは神流を相手取っていた時と同じだ。彼は果たしてどれ程苦い心地の中に佇んでいるのか。
 それは錯覚かも知れないとは思いつつも内心ではきちんと、有り得ないなと判じて、マサオミは少し苛々と鮭の切り身を囓った。
 同時に、これが丼物だったらなあと余計な事まで習慣の様に考えて仕舞う自分に少し呆れた。





状況説明補足。出たよ捏造歴史と妄想組織。いやね実際お国の関与はなんらあると思うんですよね。そうでないと神社とか嘘でも名乗れません。本編でも気象コントロール成功の後社長様に何か要人が訪ねて来ている節もあったしとか無理矢理言い訳。全く誰も知らないけどなんとかなってんです、ってファンタジーもそれはそれで良いんだけど、それよりも妄想で社会との兼ね合いをさせる方が余程ファンタジーだと思います。本文中通り「化け物の面倒は化け物が見ろ」と云った具合に超法規的措置が執られてるとかそんな感じで。
と云うか説明もとい趣味設定の説明だけで通り過ぎて仕舞われました…。内容的には全く関係ないんですが「仕事」慣れしている図とかいつか出したくって出したくって……!果たして終われるんでしょうかこれ。

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