私の罪は千二百年 / 4



 鳥居ひとつを潜っただけで世界が一変して仕舞う様な事には当然ならない。それでも並々ならない緊張と共に足を踏み入れた境内を、ヤクモはぐるりと見回した。
 境内は鎮守の杜に周囲をぐるりと囲まれており、参道の真っ直ぐ先に拝殿と、更にその後方には本殿がこじんまりとした佇まいを見せている。向かって左側に手水舎とその後ろに建物が一軒。これが恐らくは社務所兼この神社の宮司一族の住んでいた家屋だろうと見当付ける。
 石段を経た拝殿の正面には賽銭箱がおかれており、ざっと見た所では普通の神社としての体裁そのものの様だ。
 この、大気に充ち満ちた異様に澄んだ神気さえ無ければ。
 「この時代に未だこんなにも清浄な空気が残されているとはね…。神気の濃度として見ると千二百年前にだって無いかも知れないぞ、こんなのは」
 千二百年前から来て、文明の変遷よりも真っ先に大気の穢れに驚いたと云うマサオミが、その感動を示すかの様に肺を軽く膨らませて呟きを発するのを背中で聞きながら、ヤクモは拝殿の右方面へと続く道に目を留めた。辺りを覆う霧に相俟って鬱蒼とした小道だが、明らかに歩いて進める様になっている。
 「今時こんなの、伏魔殿の禁域とか式神界とか、前人未踏の地にでも行かないと残ってないんじゃないか?」
 「そうかもな」
 後ろを付いて来るマサオミの無駄口にさして気もない様な返事を返しながら、雑草の生え放題となった隘路を進んで行くと、やがて切妻の屋根を持つ小さな建物が見えて来た。近づいて見ると、大した面積も高さも持たないその建物の四方の壁の何れにも窓はなく、入り口が小振りな南京錠で施錠されている事が解る。
 「鬼門か?」
 「……いや。残念ながらハズレだ。災害時の物資備蓄倉庫だそうだ。ほらそこに書いてある」
 南京錠を検分していたヤクモの手元を覗き込んで云うマサオミに、ヤクモは自分でもついぞ今し方発見したプレートを示してやる。剥げかけた白いペンキで塗りたくられた木製の板は、書かれた赤(かったのだろう)文字の識別も困難な程にぼろぼろで、扉の横に存在感も稀薄に掛けられていた。近づくまで気付かなかったのも無理はない、と溜息混じりに思いながら南京錠を手放す。これだけは比較的最近の物らしく未だ幾分新しい。
 他に何か無いものか、と倉庫の周囲を軽く歩いてはみるが、周囲には到底人が通行出来る様な道は見当たらない。未だ玉垣も抜けていないから境内の端まで来て仕舞ったと云う事もないだろう。周囲に杜があると云うよりはお山の山林を神社の敷地分だけ切り拓いた、と云う山そのものを神域としている様子から見れば、ひょっとしたら囲いの類は無いのかも知れない。
 ヤクモとしては今後の対策の為にも祀られた神の正体と御神体とを改めておきたい所なのだが、幾ら寂れているとは云え『神』のおわす社を土足で踏みにじる様な真似はしたくはない。本殿へもしも立ち入る必要があるのであれば、此処を代々預かる宮司へと許可を求めるべきだ。それに宮司に話を訊く事が叶うならば、そこでこの神社に関する詳しい話や伝承を聞き出せば良い。少なからず今無闇にこの地を荒らす事も辞さない様な決め手にはならない。
 土地の神として謂われがあるのであれば、何かしら伝承を記した立て札や碑の一つでも無いものかと思ったのだが、生憎そういった類のものは見当たらなかった。
 もう一つの目的──寧ろこちらが本命だが──、鬼門を探すには符や式神に頼るのが最も手っ取り早いだろうとは思う。が、曩の神域の影響下で術が扱えなかった事を思えば、恐らくは闘神符であっても結果は当然変わるまい。況して此処は麓よりも神気のより濃密な域内だ。幾ら気力を叩き込んだ所で恐らくは無駄だろう。
 式神に頼る手段は極力避けたかった。この現世に在って異様としか譬え難い神域の裡に彼らを降神させる事には、式神に負担を掛けると云う事以上に妙な抵抗を憶える。直感じみたものである為、何故か、と問われても上手くは答えられそうにない。
 「……どうする?」
 思考の間隙を縫うかの様なマサオミの問いかけに主語は無かったが、この侭帰るか目的の鬼門を発見するまでは未だ調査を続けるかどうかを問いている事だとは察して、ヤクモは倉庫に背を向けた。再び鬱蒼とした小道へと足を向けて、苦く呟く。
 「取り敢えずMSSの闘神士達が行方不明となった、その直接の原因が鬼門そのものではないだろう事ははっきりした。これで振り出しと云えば振り出しだ。
 だが一応鬼門自体は調べておきたいからな。見つけられるものならば見つけておきたい」
 これも実のところ、的中しなければ良いと思っていた事柄である。何処となく重くなるヤクモの口振りに、マサオミがこちらは真逆に軽い誰何の声をあげる。
 鬼門の事故、と考えるのが最もヤクモにとって健康的な推論であるとはマサオミも承知の上だ。故に最適で最短である筈の論を真っ先に打ち消した事に対して疑問が浮かんだのだろう。
 「原因が鬼門じゃない、って。何か確証でも得たのか?」
 云ってマサオミがちらりと振り返るのは先程の災害時用の備蓄倉庫。まさか本当にそこで何か情報をヤクモが得たとは思ってはいない様ではあったが。気にせず続ける。
 「鬼門は位相空間への門であり、俗界と冥界の隔と云われている事ぐらい承知だろう。仮に鬼門がこのお山の何処かにあったとして、そこがもしも──事故でも人為でも、開封されていたとしたら、これ程清浄な神気が辺りに残っている筈が無い」
 そう、雨降りでも確かめる様な手の仕草で辺りの空気を示している心算で云えば、マサオミは盲点を突かれたとばかりに瞠目した。「ああ!」遅れて頷き手を打つと、歩きながらヤクモの前方へと回り込んで来る。
 ヤクモの方はと云えば、後ろを振り返って話していた為、マサオミのその動きを追って前へ向き直る形になる。
 「だが待てよヤクモ、その推論だとここの鬼門は相当昔から開かれていなかった事にならないか?」
 進行方向に立たれた為に、マサオミの言葉通りヤクモは足を止める事になった。自分が歩みを妨害した事に気付いていないのか、ヤクモの一時停止に合わせてマサオミもまた、ほんの三歩ばかり先に進んだ所で立ち止まっている。
 まあ話が長くなりそうだから良いか、と珍しく満更でもなく思いながら、ヤクモは軽く腕を組むと、霧に遮られ白い空をなんとなく見上げた。
 「尤もだ。開闢以来、かどうかは判らないが、少なからず五、六百年以上は『保持』されていなければこれだけ澄んだ神域にはならないだろうな」
 神域とは曩に述べた通り、俗界との隔の内側に信仰と天然とで構築された聖なる域であり、基本的に域は閉ざされていなければその裡の神聖さを保つ事が適わない。因って域は開けっぴろではなく、玉垣や杜で境界を定められ鳥居と云う門で俗界より隔てられる。
 信仰は裡の神籬や御神体に宿る事で籠もるが、鳥居を潜る人の往来に因って拡散されて仕舞う。元より神聖なる磐座を禁足地と定めたり、一般人、特に穢れたる女人を遠ざけたりするのはこの事に由来している。
 ともあれ特定の域へと神聖さを保つ為には、裡に信仰を留めるべく慥かな『崇め奉られる対象』がある事と、外より穢れの一切を持ち込まぬ事、が確たる事実として挙げられており、特に穢れは通常の人の往来だけで簡単に持ち込まれて仕舞い、一度入ったが最後時をかけ自然に拡散させる以外に祓う方法を持たない。
 一方鬼門は位相空間へ繋がる門。俗界と冥界の狭間とも云われるその裡には人の負の感情の塊とも云える妖怪が潜んでいる。その上更には内部は閉鎖空間である為に『空気』が循環する事もない。当然、神域に最も必要とされる神聖な空気など何処にも存在しない。穢れそのものの門とも云える。
 その為、鬼門が開くと周囲一帯は──先ず妖怪が溢れる。妖怪をどうにか祓うなり時間が経過し潜んで仕舞うなりした後も、その妖気は残り続け、付近を暫くの間穢す事となる。その弊害の端的な例を挙げるならば、事故が起こり易くなる、と云ったものなどがある。
 こう云った具合から判る通り、このお山を包む神域の裡で鬼門が開かれていたとすれば、神社の子であるヤクモや千二百年前の清浄な世界を知るマサオミがこれ程までに驚く程、澄んだ神気を保っている筈が無いのだ。
 況して鬼門の開放は人の出入りなどとは持ち込まれる穢れのレベルが段違いである。仮令溢れた妖怪がこの神域の内側で活動する事もならず浄化されて仕舞ったとしても、穢れた空気だけは元在る清浄さに拘わらず振り捲かれている筈だ。
 つまり結論として。鬼門は開かれてはいない──少なからず神気を穢す様な事にはなっていない。それは即ち。
 「今の所闘神士達が行方不明になった原因──特に鬼門について、可能性が三つばかりある」
 思考に傾き遠くなっていた視線はその侭に、ヤクモは三本指を立てた。マサオミが頷くのを待ってから説明を始める。
 「一つは今云った通り、『鬼門は開いてはおらず、行方不明者達には直接的に関与をしていない』。今の所俺達が最も濃厚だと思う説だな」
 マサオミが再び頷いた。ヤクモは立てた指を一本、折る。
 「二つは『そもそも此処には鬼門など存在しない』。要するに、」
 「ちょっと待て」
 続けようとしたヤクモを遮って、マサオミが自らの秀でた額に手を当てて口を挟む。これから説明する、と一応目で示して見るが、彼の抱いた疑問の方が先立ったらしい。淀みなく言い出す。
 「それだと最初の前提から覆るだろうが。最初に此処に来たのは俺達ではなく、MSSの連中だ。目的は鬼門の調査。遡ればMSSは地流の所属で、当時地流は莫大な資金、コネクションや人員にも恵まれていたミカヅチグループそのものだったんだぞ?此処の鬼門を発見し記録に残したのだって地流の闘神士だ。それが今更『存在しない』筈がないだろう」
 訝しむ様な表情で云うマサオミに、ヤクモは溜息を密かに呑み込んだ。こんな事にまで思い至らなくなっているとは、マサオミが平穏な生活に慣れて耄碌したのではないかと本気で悩んで仕舞う。
 まあ良いかと二度目のそんな思考で、一旦ヤクモは立てた指二本を引っ込めた。人に説明や教示をするのは嫌いではない。
 「では、初めからそれ自体が偽だったとしたらどうだ?」
 「莫迦な!」
 一呼吸と置かず返って来た否定に、余り自覚せず満足な──丁度生徒に教える教師の様な心持ちになりながらもヤクモは続ける事にした。論理合戦や問答(『こっち』関係の事が概ねだが)も嫌いではないのだ。
 「一。鬼門に類似したものを見間違えた。二。調査が面倒だったので鬼門が『ある』事にして仕舞った。三。鬼門が普通に存在していると『騙され』た」
 「ンな莫迦な……地流にとってメリットにならないだろうがそんなの。例えば【二】だったとしたら、手抜かりの仕事をするぐらいならもっとそれらしい所に鬼門はあったと報告するぜ俺ならば。こんな神域なんて有り得ない所をわざわざ選ぶリスクなど冒さない。それに闘神士なら仮令開かずともそれを鬼門と判じる事ぐらい、自覚していれば出来る筈だから【一】も有り得ん」
 マサオミからの否定も三度目に入って少々語気が弱くなる。そこを突く様に、ヤクモはこの二番目の説の肝を示した。
 「個人的に俺がこの説でお勧めするのは【三】だ。何者かにとっては此処に鬼門が普通に『在る』と云う事になっていなければならなかった──とか」
 身構える様に自らの腕を抱いたヤクモを瞬き三回分程じっと見返して、マサオミが胡散臭そうな表情で首を傾げる。
 「…………その、何者か、って云うのは一体何だって云うんだ?」
 「さあ?まだ推論の段階での可能性二つ目だぞ。どれに張るかは全部を聞いてからでも遅くはないんじゃないか?」
 暗に「話の腰を折るな」と云う、言外にはされないヤクモの意図に気付いたのか、マサオミは俄に涌いた気まずさに耐えかねるかの様に露骨に顔を顰めた。ならさっさと続けてくれとばかりに肩を竦めて寄越す。
 改めて、ヤクモは引っ込めた二本指を再び立てた。聞く気が無くなった訳ではないだろうが、マサオミがそっぽを向くのを見て、何となく視線を背後、隘路の奥へと戻した。
 霧は未だ深く──どころか先程よりも密度を増している様にも思える。一寸先も伺えないと云う程ではないが、後ろの方にある筈の倉庫はもうその影形すら伺えそうにない。
 その割には湿気はそう多くなく、まるで神気そのものが視認出来る靄となって顕れているのではないかと云う錯覚すら憶えて仕舞う。そこまで行くと陳腐な幻術か、はたまたカミ様の域である。
 「三つ。もしも鬼門が──………いや。答えかけておいて悪いが、マサオミ。先に質問だ。
 結界を張る際取るべき手段を云ってみてくれないか」
 そう云うなり、露骨な疑問の気配を感じてヤクモが顔を前へと戻せば、想像通りにマサオミが何とも形容し難い表情を向けて来ているのに出会う。例えるならば不可解極まりなく「はぁ?」と云った所か。構わず頷いてやる。
 「……………まぁ別に構わないけどな。えーっと?先ずは結界で囲う地──もとい『位』、空間の座標点を括る為の……俺達の時代じゃ代(しろ)とか要とか呼んでいたが、今風に云うと楔?か?兎に角それを置く事で外界と当該の『位』とを固定し分断する為の標にして」
 腕は良い癖に理屈の面は存外不勉強だったのか、歯切れ悪くもマサオミは途中のヤクモの首肯を受けて言い進め、最後で言葉を切った。きゅ、と手でちょうちょ結びをする様な仕草をする。
 「最後にその標を繋ぐか覆うかして『結ん』で『閉じ』る」
 両手の指を顔の前で、左右に引っ張る様な形にして停止したマサオミに、ヤクモは深く頷いた。まあ及第点と言う意味で。
 結界は封印とは異なり単純に隔を立てる術だが、その手順は『覆う』だけのものと『切り取る』ものとで大きく異なる。基本的に不動の対象物や人や妖怪などに対しての措置は前者で充分なのだが、流動するものや大地に対し行う場合は後者を用いるのが常である。ちなみに妖怪をそうやって『覆う』意味は戦いの際の足止め程度でしか必要とされない為、本格的に閉め出したい場合は寧ろ封印する方が適切だと追記しておく。
 一方、動く対象物に対しては『縫い止め』る作用が必要とされる為、結界で囲う空間ごと『切り取る』方が望ましい。大地に直接結ぶ場合も同様である。日々様々な影響で姿形を変容させる『地』に対しては『覆う』結界は長期間その意味を為す事が出来ないのだ。
 「結界は鍵或いは隔だが、封印は蓋若しくは縛だ。だからお前の云う『結』ぶのは寧ろ封印の方であって、結界には余り相応しくはないな。名前を裏切る役割に注意」
 実のところこれは昔ヤクモ自身がイヅナに散々云われ憶えた事である。無論それを知る由もないマサオミは、不機嫌です、と顔に書いた様な仏頂面で、ぐるりと身体を前方へと向けた。ゆったりとした歩調ながら大股で、境内の方へと戻り始める。
 「で? 三つ目の可能性って云うのは結局何なんだよ?」
 背中を向けた侭、思い出した様にそう投げて来るマサオミへと密かに苦笑を向けて、ヤクモは歩きながら頷きついでに俯いた。己の爪先に視線を置いて、今まで考えていた最後の可能性を諳んじる。
 「今云った通り、結界は隔だ。神域も儀式的な法(のり)や天然的要素で構築してある一種の結界と云える。
 マサオミ、俺が此処に来て先ず知りたかったのは鬼門の所在だが、それよりも確認したい事が先にあった」
 ざ、と前方で土を噛む靴音。マサオミが立ち止まったのだろう。
 構わず、ヤクモは自らの靴先に視線を遣った侭続ける。
 「それは此処に祀られる神が土地の氏神なのかそれとも鎮守神なのかと云う事だ。前者ならば兎も角、後者だとしたら──」
 鬼門も『門』だ。当然状況は開いているか閉じているかの二種類しか有り得ない。
 開いていたとすればこれだけ清浄な域を保てる筈がない。
 閉じていたとすれば人が忽然と姿を消した、もっと納得に足る理由が必要となる。
 それが思いつかない現状、仮に鬼門が開いていたとしよう。それでいて妖怪の姿も見られぬ清浄な域を保っていると云う事は実際有り得ない筈だが、もしも鬼門より穢れも妖怪も、『何』も出て来れなかったとしたらどうだろうか?
 氏神は古来よりその土地に棲まう神だが、鎮守神とはそこに別の神代を置いて元在る土地の神を、その祟りを、服従させんとしたものである。つまりこの土地ではない何処か別の地から霊威の高い神を勧請して来なければならない。
 或いは『カミ様』に似たものを。この土地に元より在るものを押さえ込めるだけの存在を。
 「一体何処から、『カミサマ』を此処へと招いたのか。そう、例えば」
 鬼門より鎮守のカミを──それに類するものを──招く。
 即ち、鬼門がこそが即ち神の勧請された神籬であったとしたら──?
 そこまでを胸中で咀嚼した時、ふとヤクモは前方に立ち止まった侭のマサオミのほぼ真後ろに追いついて仕舞っている事に気付いて足を留める。
 いつの間にか薄暗い隘路を抜けて境内へと戻って来ていた。首を傾げながらもヤクモは一歩マサオミの背から離れ、顔をゆるりと拝殿の方へと──血の気の引いた彼の横顔が凝視する方角へと向けてみる。
 「──」
 息を呑む。
 何処より顕れたのか。そこには、境内をうねり拝殿の更に奥になお計り知れない全容を横たえた、家の屋根程もある頭部を擡げた巨大な大蛇(うわばみ)が居た。
 長大な体躯に霧を纏うその威容は、薄く周囲の風景を透かせている。つまり半透明。実体ではないのだ。ただその双眸だけは禍々しい程の金色に光り、確実な威圧感と共に境内に佇む二人の闘神士をじっと見据えている。
 ヤクモは反射的に腰の後ろの神操機に手を触れさせていた。それは降神を目的としていると云うよりも、裡に潜む式神達が姿を現す事を控える様にと云う意図の方が強い。
 何故、かは矢張り知れない。直感としか云い様がない。
 そして直感とは異なるが、一つ正しいと思われる推論に確信を置いた。
 それは、鬼門からであっても何処とも知れぬ場所からであっても同じ事。
 この大蛇が、此の域に立ち入った闘神士二人に用向きを持って顕れたのだと云う事だ。





うちのマサヤク共は負けず嫌い同士論議したがっていかんです。え、単純に説明が楽だからとかそう云う訳じゃないのよ?ヤクモに陰陽ネタとか式神ネタとか術ネタとかうっかり振ったら十倍になって返って来ると云う脳内想像図があるので。自分は「解って」いるから問われない限り口は噤んでいるけど、一度問いたら最後延々説明してくれちゃう人らしいですうちのヤクモ。
そんな訳でまたしても設定説明で終わりかよ神道なめんな。やった事って云や倉庫行って引き返して来ただけだし…。

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