Manufacture / 6



六日目:
 
 勃ち上がった性器に宛がわれる細いものに、土方は震えながらかぶりを振った。そこはどうした所で急所なのだ。感覚は鋭敏だし怖くない訳が無い。
 銀時の手は摘んだ細いもので尿道口をつんつんと突いている。ローションでぬらぬらと光るその物体の用途は最早明かで、それに対しては恐怖しか確かに無いと言うのに。
 それでも、震えながらも、土方の呼吸は荒い。ぐりぐりと弄られる敏感な尿道口への緩やかな刺激が気持ち良くて声が出る。性器は萎えずに先走りを溢しているし、銀時の一物をくわえ込んだ後孔もひくひくと動いて仕舞っているのが解った。
 嫌か?と聞かれて何度も頷いているのに、どうして目が離せないのだろう。どうして期待に喉が鳴って仕舞うのだろう。
 「お前もう普通のセックスじゃきっと物足りねェぞ?」
 それを裏打ちする様にして、いっそ優しげに吐かれる銀時の毒は土方の理性を打ちのめす。怖いのに、嫌なのに、気持ち良いのではないかと思わずにいられない。銀時が楽しそうに満足そうにするのに応えたいと思わずにいられない。
 「こん…っ、な、事まで、される、なんて思って、」
 弱々しい抗議は形ばかりのものだと、己でも解った。『開発』されて行く己は少し怖かったけれど、それと共に銀時を得られたと悦んだ事は、何にも代え難い事実だ。抱かれて悦んで、抱いている男を悦ばせる事が叶う僥倖なんて、きっと己一人だけではどうしたって味わう事の出来なかった境地だ。
 「責任取るから、許して」
 そう、決まり文句の様に繰り返される銀時の言葉が余りに甘くて、土方は陥落の心地よさに溺れながらひとり喘いだ。
 目を伏せた土方から降伏と容認の気配を感じたのか、銀時は身を乗り出すと宥める様にして、土方の顔のあちこちに唇を落とす。
 そうして尿道口から何かが入り込んで来る未知の感触に、土方は悲鳴とも歓喜ともつかない声を上げた。
 
 *
 
 唯一の快楽の吐き出し所である尿道を塞がれ、腹に籠もった力で銀時の性器をぎゅうぎゅうと締め付けては絶頂出来ぬ感覚に啼き喘いでいる土方の姿を見下ろして、銀時は腰を送りながら自らの快楽と心の底の悦楽とを追って忍び笑う。
 『開発』は十分に出来た。淫靡な快楽も酷い痛みも未知の恐怖も、あらゆる事をこの身体に、心に刻んでやりたいと思えば、胸の裡には止めようもない程のいとおしさと充足感とが湧いて起こる。
 情愛も愛しさも意地悪な残酷さも、何もかもがここに在る。何もかもを与えたい。何もかも己の手で教えてやりたい。自分だけがそれを得れば良い。自分だけがそれを知れば良い。
 (全部、俺が、)
 感極まって啼いては背を仰け反らせて頭を打ち振るう、土方の背を抱いて銀時は笑う。恍惚に満たされて息を吐いて、絶頂より猶強い悦楽に目を細めた。
 『開発』と宣って教えて、作って、与えたその感情に、心に、深く深く入り込む為に。
 (俺だけが、)
 
 被造物を愛する神とはこんな傲慢な気持ちなのだろうかと。
 想像は何処までも酷薄な癖に、湧いた感情は然し紛れもなく、愛しくて堪らないと言う静かな熱情だった。





…そんな感じで頭悪い話でした。メンタルから入るとアッサリ落ちて行くタイプですこのドM。
互いに単なる本心なので関係性に上下的なものは無いですたぶん。

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