JULIA BIRD / 22



 打たれる雨に視界を滲ませながら走る。薄ら淋しい街灯以外には光源の無い世界は一歩毎に濡れて、揺れて、溺れそうだ。
 畜生。ちくしょう。
 軋る歯の間で、声にならない声を張り上げてそう叫ぶ。
 馬鹿野郎だ、とつくづく思う。他の誰でもない、この自分自身こそが。
 喉奥で音もなく息が切れて、肺が忙しなく呼吸を繰り返す。喘ぐ様に空を仰げば冷たい雨水が鼻梁を伝って滴り落ちた。瀑布に打たれでもした様に濡れそぼった有り様同様に、ずぶ濡れになった土方の頭は恐ろしいまでに冷え始めている。
 久々の全力疾走に悲鳴を上げている肉体の訴える疲労感と呼吸困難とに逆らわず、土方はゆっくりと速度を落とした。そこは街灯りの遠い、市街地を抜ける運河のひとつに掛けられた橋だ。緩い円弧を描く木製の、その頂点まで緩めた歩調で歩き、やがて欄干に凭れて息をつけば己の冷えた思考が激情を堪えきれずに溜息となって噴き出した。
 (馬鹿だ。馬鹿か。何をやってんだ、俺ァ…)
 欄干を殴るべく振り上げかけた拳を、然し留まってゆっくりと下ろす。無意味だ。怒りは自嘲。虚しいだけの力の発散は、ますます己を惨めにしそうで堪らない。
 銀時を殴ったのはただの衝動だ。あの男が殴られねばならぬ謂われなど、どこにもない。
 ただ、『こう』なって以降、あの男が誰よりも己を理解してくれたのだと、勝手にそう思い込み、勝手に期待して、勝手に逆上しただけの事。
 (俺が、野郎に怒って良い筋合いなんざ、何も無かった。解ってる。解ってる筈だった)
 欄干の上についた両の拳を握りしめて、土方は絶望的なまでに冷えた思考で己を嘲った。愚かだと。恩知らずの、身勝手な怒りだと。誰よりもそれを解っている自分を、あの男も解っているのではないだろうかと、まだそんな事を考える己にまた笑う。
 勝手に、解ってくれたのだと思い。勝手に、裏切られた様な心地になって。勝手に、堪えきれず怒った。悲しすぎて怒った。
 全く以て、救い様のない愚かしさだ。
 土方は、万事屋に居続ける事が気が楽な事と知ってそれに甘えていた。それは、銀時の目から見れば、飼い殺しも良い所の生活に怠惰に浸っていた様に見えたのだろう。『それでいい』と思っている様に、見えていたのだろう。葛藤も無く。後悔も無く。簡単に心地の良い巣に羽を休め甘んじていられる様なものだと。
 結局、己は真選組の副長である事を已めたくないばかりに、あの男に知って貰いたいと謂う言い訳の猶予をつけて、だらだらと逃げ続けていただけだったのだろう。
 それすら自覚の外で。自らの過失から逃げて、そうしてまた同じ様な過失を積み重ねる。それが怯懦な男の愚かしさが招いたものと言う他に何があるのか。
 吐き捨てる様な自嘲は、顎先を伝う滴と共に眼下の黒い水面へと落ちて行く。雨で水嵩が増した川は黒い衣が波打つ様に蠢き流れている。氾濫する様な雨量ではないが、河原で営業している筈の屋台は畳んであった。こんな天候だと客足も無いのかも知れない。否、客足どころか人影ひとつ周囲にはない。こんな雨の日の深夜では当然だろう。
 雨の重たい緞帳は街を満遍なく覆っており、遠い繁華街方面の光が湿気に滲んで厚い雨雲をぼんやりと照らしていた。
 戻らなければ。
 冷えた割に緩慢な思考がそう囁くのに、土方は俯かせていた顔をのろのろと起こした。雨水が濡らした髪が額にべたりと張り付いて鬱陶しい。
 そろそろ切らないと。戦いの最中に邪魔になる。否、もう戦う必要はそうそう起きないだろうに。違う。そうでなくても邪魔だし散髪ぐらいしっかりしたいだけだ。身なりに以前ほど気を遣う必要が無かろうが、単に性格上の問題で。
 ぐしゃぐしゃに流れるとりとめもない思考に顔を顰めて、土方は空を仰ぎかけていた顎をついと引き戻した。雨水が濡らした着物が体に纏わりついて鬱陶しい。
 着替えたい。だから、戻らないと。これ以上誰にも迷惑を掛ける事の無い様。これ以上あの男の前にこの醜態を晒さぬ様に。
 この期に及んで未だ、諦め悪く立ち回る己の思考にある種の呆れを覚えながら、土方がゆっくりと欄干から手を離した瞬間。ざり、と雨音とは明かに異なった異質な音が聞こえて来た。
 草履で水溜まりを踏む音。それは意図的な足音だった。気付かぬ者に、己の存在を知らしめる為だけに立てられた音。
 『………』
 仕舞った、とは思わなかった。冷えた思考同様の冷えた眼差しが、橋の両側から近付いて来る、笠を目深に被った男たちの姿をゆっくりと舐めて行く。
 佩いた刀。髷に袴。街灯に映し出されたそれらの様相は、土方にとっても憶え深い実に攘夷浪士にありがちなものであった。
 「こんな天気の中見廻りとはご苦労な事で。流石は幕府の忠犬と言うだけある」
 せせら笑う気配が漣の様に湿気に満たされた空気を揺らす。その台詞だけで連中の正体や目的を察するには余りある。目に見える範囲には五人。だが、こう言った状況では、逃げられた時の追跡役或いは不意打ち役の伏兵が周囲に居る事が多い。
 解り易い一対多の襲撃の構図。厄介極まり無い事だが、土方の口角は自然と持ち上がっていた。
 「真選組の鬼の副長殿が最近とんと姿を見せないと思ったら、よもやかぶき町などに潜伏していたとは。屯所(犬小屋)を出て療養中だとか言う噂は本当だったらしいな?」
 勝ち誇った様な声には嘲りの色が濃い。否定も肯定も態度には取り敢えず出さないでおく。得意気に言われた所で、元より充分に想定し得た事であったので、驚きはまるで無い。
 山崎の出入りや土方当人の階下との往復。窓から──それこそ洗濯物でも取り込む為に──出す顔。かぶき町は人の噂の拡散速度が非常に速い。悪意など無くとも、小さな噂話の立てる波は容易く拡がり何処にでも伝わる可能性を持つのだ。
 だからまるで想定外とは思わない現状だが、隊服姿でもない土方の事なぞ誰も気に留めはすまいと楽観的に考えていたのは事実だ。それでも、かぶき町四天王のお登勢のシマであり、かぶき町のある意味有名人である万事屋の住処と言う事で、そうそう容易に手を出す輩もいまいと高を括っていたのだが──、噂話を受けて張り込みでもしていた暇人が居たと言う事だろう。目の前に。
 そうして、何故かのこのこ飛び出して来た土方を追って来たとか。或いは連絡を受けて集まったとか。そう言った所だろう。
 「素手の相手を斬ると言うのは武士道に反するが、貴様らの様な成り上がりの芋侍共にはそんな道理も要るまい」
 何も答えない土方を前に、やや溜息の混じった調子で一人がそう言い、刀に手を掛けた。残る四人が次々それに倣う。無言で襲撃をせずにわざわざ取り囲み嘲る様な口上を投げたのは、土方が──彼ら曰く『療養中』の──取り乱したり慌てたりするのを期待していたのだろうが、生憎とその要求には応えてやれそうもない。
 腰を探るまでもなく己が得物を所持していない事など解りきっている。だが何故か、緩く持ち上げられた土方の口の端は相変わらず、笑むのを已められない。
 客観的に見ても相当に危険な状況だとは解っているが、危機感が無い──と言うより、この状況からどうやって『死』の結果を払い除けようかと頭が昂揚感さえ沸かせ考えていたし、そう考えた通りに動ける自信もあった。
 いっそ可笑しなくらい、土方はこの世界に熱狂を憶えてさえいた。久しい刃と血の予感に、自然と沸き立つ己の心はどこか捩子が飛んで仕舞っているのかも知れないと思うが、それも今更だと、ちいさく喉が音を立てずに鳴った。
 抜かれる刃が、雨の滴に打たれて鈍く光っている。誰が持とうが、なまくらだろうが、無様だろうが、『これ』だけは純粋に美しい。
 殺意とか、敵意とか。感情を明確に示した刃の有り様と行方とは、それがどんな質のものであったとしても、いつだて酷くシンプルで解り易い。
 そんな事を思う己を、血に餓えた獣かも知れぬと思う。戦いの気配こそが、己の置かれるべき場所だと、そんな一種の『懐かしさ』さえ憶えるのだ。
 (全く、愚かなのは今に限った話でもなかった様だな)
 思った土方は片方の目を眇めた。雨はまだ強い。睫毛を伝う様な滴が瞬きでぱたりと弾ける。
 「命乞いするなら殺すのは考えてやっても良いぞ?」
 一人が刀の間合いへと悠然と近付いて来て言う。にやにやと放たれたその言葉に、残る他四人の間にも密やかな嘲笑の気配が伝わる。
 「どうした、怖くて口も利けませんってか?」
 近付く、間合いの内。男が一歩を踏み出し手に提げた刀を振るえば土方に容易く致命傷を負わせられる距離しか最早空いていないが、それはしないだろうと土方は確信さえ抱いて思う。
 己が絶対的に有利だと過信する者は、常にこうだ。
 この分ならば、眼前まで来て「少しは何か言え」とか胸倉でも掴んで言うだろうか。
 (あと三歩…、二歩、一、)
 露骨に視線は向けず、視界の隅でだけ男が刀を握る手を見ながら、計り終えた土方は何の前触れも無く男の顔面を真っ直ぐに殴りつけた。後ろに倒れたりする程体重は乗せず、単に鼻っ柱に痛打を当てる事だけを目的に。
 「っご、」
 人間に限らず視界判断に頼るイキモノは大概、顔面への一撃に弱い。思わぬ痛打に呻き蹌踉めいた男の手を打って、その握る刀を取り落とさせると、土方は逆手に奪った刀を軽く立ててちらりとその刀身へと視線を走らせた。
 『安物だが、まあ手入れだけは立派にされてる様だ』
 評価の声は生憎、我に返った瞬間に頸動脈を断たれていた持ち主には届く事がなかったが。
 がくりと膝をつき、ごぼごぼと自らの血と雨とに溺れる様な音を立てながら倒れた男を前に、土方は手にした得物を軽く振って雫を飛ばした。
 残る四人は色めき立ちかけたが、倒れた仲間に駆け寄ろうとする様な愚か者はいなかった。先程までとは違い嬲り殺しにする対象であった土方が刀を手にした事で、それぞれ慎重に構えじりじりと包囲網を保つ。迂闊に間合いに入れば死ぬと、彼らの剣士としての勘がそう判断したのか、噂に聞く鬼の首は容易く獲れまいと感じているのかは知れないが。
 『三下共が。俺ァ今虫の居所が悪ィんだよ』
 だからこそ上機嫌でもあるのだが。どの道声になってはいないのでどうでも良い。雨音に混ぜる様にして吐き捨てた土方が刀を構えるのに、然しまだ一対多と言う利を諦めるつもりはないのだろう、彼らもじりじりと緊張感を研ぎ澄ませて互いに隙を伺い合う。
 そんな足下で、亡骸から流れた血の糸が雨粒たちに混じって黒い川へと滴り落ちて行った。
 
 *
 
 手の甲で鼻の下を拭えば、乾きかけた血が付いた。咄嗟に歯を食い締めたから口の中は切っていなかったが、顔面に軽く痕は残りそうだ。別に外面を気にする必要は無いが、神楽や新八に適当な説明をするのが面倒臭い。
 床に座り込んで、ソファに後頭部を押しつけて力なく天井を仰ぐ。傷の痛みにではなく、酷い虚脱にも似た喪失感に顔を顰めながら、銀時は先頃の土方の顔を思い出す。
 泣く様な。怒る様な。嘆く様な。理解の無さを諦める過日の表情とは全く異なった、然し良く似たその印象の正体は、失望感だ。
 恐らく。否、確実に。何か己は失言を犯したのだ。だが、それが『どこ』にあったのかが解らない。銀時の言葉の『何』が、土方の心の琴線を乱暴に不躾に揺らしたのか。それが、解らない。
 酒が入って浮かれた事で、つい自分の感情で会話をして仕舞った。その自覚はある。
 声が出なくとも解ってやっている心算でずっと居たと言うのに、実は何も解っていなかったのではないかと、そんな不吉な考えが不意に過ぎる。
 解り易い男の態度や物言いは、今までもいつだって解り易かった。看破出来ると過信さえしていた。良くも悪くも銀時は土方の単純で解り易い直情的な部分を舐めていたのだ。言葉でも刃でも、簡単に御せる相手だと見くびっているぐらいだった。
 そう。確信はいつだってあった。だからだ。理性的な判断か、単なる勘か、それともそれ以外の何かの感覚なのか──土方がどう言った人間なのか、どう考えてどう動くのか。それを理解する事は容易い事であった筈だと言うのに。
 だが、銀時の言葉は確実に土方の何かを──矜持や信頼と言ったものを、きっと崩して仕舞ったのだ。己の感情が発した、不用意で身勝手な言葉の、何かが。
 解っていた様な気がしていたのは何だったのか。錯覚ではあるまい。現にそれは今まで様々な合致を見ている。だから過信ではなく経験として解る。今までは決して土方と言う男の事を見誤ってはいなかった筈だ、と。
 行動や言動は察しても、感情までを推し量れてはいなかったと言う事なのか。今までずっと銀時が解った気で居たのは、理解を求められる事に応じた注視だけが見せていた、ほんの側面に過ぎなかったとでも言うのか。
 拳に、出ない言葉を換えた土方は、本来ならば怒鳴りたかったのか、それとも泣きたかったのか。
 「……くそ。言ってくんなきゃ、解る訳ねェだろ…」
 思わずそんな悪態をついてから、『言われ』なければ解らない程に、矢張り自分は土方の事を解ってやれてなどいなかったのだと知らしめられた気がして、銀時は愕然とした。
 酔いなどもうとっくに醒めていたが、更に体温の下がった気のする感覚に背筋を震わせ、思わず頭を抱えて俯く。
 酷い傲慢で、理解を得た気になっていた。その傲慢で、土方の心をそうとも知らず踏みにじったのだ。その後悔はなまじ『原因』を解る事が未だ出来ていない事でより一層に銀時の懊悩を深めた。
 悪意の記憶の無い罪悪感は、だからこそより悪事めいて感じられる。後悔も謝罪も、行き場が解らないだけに無力さを増すだけだ。
 泣きそうで泣けない様な表情。本来ならば何かを伝え──怒鳴りつけ──たかったのだろう、上下した唇。
 思い返せば返すだけ、後悔と解消出来ない罪悪とで思考はぐしゃぐしゃに絡まって理性的な結論を不自由にしていく。混乱していた、と言うよりは理解を先送りにしたかっただけかも知れぬとは思うが──、思い直してなんとか立ち上がった銀時は、ふらりと大した意味もなく視線を彷徨わせた。
 ささやかな酒宴の名残は未だ生々しく、それだけに今し方の過失と後悔とが胸を厭な痛さを以て苛むので、意識して見ない様にしながら居間を横切る。
 寝室の襖を開ければ、酒を飲んだら直ぐに眠る心算だったのだろう、これだけはここに来た時から全く変わらず、部屋の端と端とに離して敷いた二組の布団が主を待っていた。
 卓の上には仕事の気配は無い。こぢんまりとした荷物がその横に纏めて置いてある。まだほんの一ヶ月には足りぬ程度の、その期間を表す様な僅かばかりの、土方の私物。
 いや、もう一つあったか。
 思って這わせた視線の先には、刀架に置かれた刀がある。己の愛用の木刀と揃えて置かれた、解り易いぐらい大事にされている刃。
 (このぐらい、単純だったら──、)
 思ってから、益体もないそんな考えにかぶりを振る。刀の役割程に人は単純なものではない。刀にも似た気性の男であったとしても、そんな事は当たり前の事だと言うのに。
 「………いや、」
 ひょっとしたら、解った気になっていたのは、『それ』だけだったのではないだろうか。
 そう思った所で、銀時は自らの頭髪をぐしゃりと掻き潰して大きく溜息をついた。足取り荒く刀架へと近付くと、いつもの様に木刀をベルトに挟み入れて、それから土方の刀を手に取る。
 何にしてもこんな深夜に、得物も持たず飛び出して行くのは危険かも知れない。真選組の副長がが万事屋(こんなところ)に居ると知れているかどうかはともかく。こんな雨の夜は暗殺には最適だ。
 物騒な思考でそんな事を思ってからまた、いや、と打ち消して、銀時は玄関へと向かった。危険があろうがなかろうが、この侭土方を放っておいて良いとは到底思えない。
 ブーツに足を押し込んで外に出ると、雨が軒をばたばたと叩く音が耳朶を打つ。全方位満遍なく雨が降り積む深夜の町に、然し銀時は傘も持たず躊躇わずに出て行った。
 左右を見回した所で、飛び出した土方がどこへ向かったかなど解る筈もない。足跡なぞ残っていないし、時間が経っているから足音などもする訳が無い。
 行動パターンが似てるとか思考が似てるとか、それは他者によく言われる評価だった。だから、理解に自信を失った今でもきっと当たる筈だ。そう決め込んで、銀時は土方の心情は解らなかったが、自分だったらどう行動するかを考えて走り出した。
 感情に由来して逃げ場を選ぶ様な事はきっとない。だから、単に居心地が悪くて飛び出したと考えてみる。
 真選組の屯所はないだろう。万事屋に戻るよりもっと有り得ない。繁華街は無い。人は落ち込んだ時ひとりになりたいと願う事が多い。だからきっと、夜には静まりかえる旧市街地の方角。
 我知らず少しづつ速度を速めながら、銀時は夜道を油断なく見回しながら走った。見落とすかも知れない。見過ごすかも知れない。見つからないかも知れない。……そうだとしても。
 依頼だから、ではなく。探さなければいけない。依頼だから、と言う免罪符を放り捨てて、言わなければならない。
 解ってやれなくて済まなかった、と謝る?──否。違う。
 お前が好きだから、解ってやりたくて必死だったのに、お前があんまりにも素直な信頼を寄せてくれたから、つい解ってやれた気になって仕舞ったんだ。
 お前の事が知りたい。何を言いたいのか。言いたかったのか。だから、教えて欲しい。解ってやる事の出来なかった俺でも、解りたいと願う気持ちは変わらないんだ。
 口先だけの言葉じゃない。本当にお前に謝る為に。そう伝える為に。何を言ったら良いかを解る為に、お前を見つけて、お前の口からそれを『聞き出し』たい。
 (俺は、お前の言葉が聞きてェ)
 銀時は己の勘を頼りに、雨粒を散らして夜道を駈けた。これだけは、言葉が無くてもきっと解る唯一の事だと信じて、ひた走る。
 



土方は喧嘩慣れしてるとおもう。

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