JULIA BIRD / 25 万事屋へと戻った銀時を迎える声は無い。玄関に新八と神楽の履き物、それと傘が無かったから、買い物だの遊びにだの出掛けた様だ。定春の姿も無いのは、神楽が連れて出たからだろう。 「たでーま」 言って、寝室への襖を開ければ、窓辺に留まるなかない鳥が振り向いて応える。 今日の分と宛がわれていた仕事の山は、卓の上に綺麗に片付けられていた。終わらせて暇を持て余していたのだろう。屋内でテレビを観ているぐらいなら外で体でも動かしていたい手合いである所の土方が、窓辺の風景をこの万事屋の中でも特に気に入っている事ぐらい知っているし、それ自体既に見慣れた光景だ。 なかないし囀らない。歌わないし声真似もしない。媚びないし懐かない。それは鎖された愛玩動物ではないし、自らの意志を持った人間だ。『聲』が失くとも、土方十四郎と言う、その侭の存在だ。 なかない鳥の収まって安堵する、こんな狭い篭に押し込めておく事など出来はしない。赦されもしないし、したくもない。 乱暴な風に曝される事もない、安堵と引き替えにしても良いと、納得の昇華した諦めを得たのだから。 彼が、ここからでることを、望んだのだから。 "真選組の副長で在りたかった" そんな土方の望みを、最もそうと伝えたかった銀時に告げる事が叶った以上。最早土方が『ここ』に──銀時の元に縋りたいと思う理由も無い。 それを途方もなく淋しいものだと──喪失したかの様に感じられるのは、銀時が些かに過分な感情の重みをそこに向けて仕舞ったからだ。話してくれと乞うのに、土方が余りに正直に全てを伝えて寄越してくれたからだ。 それ自体には良いも悪いも無い。願望は時に何よりも明け透けに物事を語るし判断をも鈍らせる。卑怯にも狡猾にも臆病にもなる。 (……だからって、俺が此奴の未来に対する不安要素を並べても仕方無ェんだけどな) 卑劣な事だ、と思えば逃がし損ねた溜息が室内を泳ぐ。 お前はもう役に立てない、とか。そんな残酷な言葉を放ってやる事で、篭の戸を閉じるはきっと容易だ。銀時が言ったと知れば山崎も顔を顰めるだろうが、そうする事で追い詰められた心地になった土方が自ら選ぶのだとすれば、それはまた別の話になる。 ………………土方の口から告げられたのは、銀時が己で自覚している様な『好きだ』とか言う解り易い言葉では大凡無かった。だから、恐らく土方は己の中にある『その』情に名前を付け何らかの形にする事は望んではいないのだろう。 銀時に乞われ、口にした時点でそれが明確な『意味』を持つ事になるのだと、悟っていたから。 『……てめぇが、』 不意にそう切り出された言葉に押される様に、銀時は襖を閉じてその場に座り込んだ。土方も少しの間の後、銀時の行動に倣う様に窓をぱたりと閉ざす。 硝子や紙の仕切り一枚隔てて、しんとした空気の中。土方は特に姿勢を正すでもなく座しているが、世間話では済まない様な『話』をしようとしているのだと、慣れた銀時の感覚が告げている。 元より躊躇いは無かったのだろう、土方は銀時に話を聞く姿勢がある事を確認し終えると、薄暮の光の下で少しぼやりとして見える眼差しをゆるりとこちらに向けてきた。 土方がこちらの顔を真正面からじっと見つめる時、銀時は自然とその唇と視線とに注視する様になっていた。ここ一月程度の事ですっかり慣れた、ごく自然な挙措。 『てめーが言った事を、俺なりに解釈してみたんだが、』 そんな銀時の視線を受ける土方も、慣れた調子で『言葉』を紡いでいくが、そこで一旦口をぱくりと上下させて僅か躊躇う様に視線を逃がした。 "この侭万事屋(うち)に居るのも悪くないのではないか"── それは銀時が迂闊に、自分勝手な思いを先走らせてつい口に上らせて仕舞った、軽率な事極まりない発言だった。土方がどう思うかなどとは考えず、ただ己の願望の侭に口をついて出た望みだった。 土方から聞かされた今なら、恐らく銀時はそれを正しく理解出来ている。問いて確認した訳ではないが、それこそ確信とでも言う奴で。解っていた。 銀時の今までずっと見てきた、『真選組の副長』として在りたかったのだと、土方は言った。 (……そりゃ、殴りたくもなるか。そんな風に思ってた手前ェを全否定して、万事屋で暮らしませんか、なんて言われれば) 思えばばつの悪くなる銀時である。幾ら自分事に必死だったとは言え、デリケートな状態にあっただろう土方の感情をまるで考えもしなかった事は、失態──否、失敗以外の何でもない。 ついでに言えば、逸りすぎた己の若さと言うか青さと言うか。 そんな内なる葛藤や棘が残っていた為、銀時は土方の言う『てめーが言った事』とやらを反芻しては忽ちに厭な汗を背に感じて仕舞う。 土方が上げたのは、銀時を殴った時の言動ではなく、その後家に戻ってから朝方改めて口にした言葉の方なのだろう。 ……………要するに。焦点を少し逸らした告白の言葉の方だ。 "うちの子にならねェ?" ──つまりは。これからも一緒に居たい。そんな遠回しで臆病な問い掛けだ。 「えー…、ああー、うん…、アレ、な。……いや、いやいや、なんつーかその、解答は解ってると思うんで、わざわざ解読も答えも要らないかなーって…」 急いた願望ではなく、正しく望んだ言葉であったとしても。真選組に戻る諦めを得た土方に対するには玉砕も良い所の告白だ。 聞き取った上で流してくれたからこその、土方のあの時の苦笑だと思っていた銀時は、流石に狼狽え顔を熱くした。今更何の羞恥プレイなんだこれは、と頭の中で絶叫して仕舞えば、頭に一気に昇った血が熱くて暑くて、冷水でも思い切り被りたくなる。 『……今更怖じ気づいてんじゃねェよ。真剣に考えたこっちが馬鹿馬鹿しくならァ』 窓に横頬をべたりと預けている土方が憮然とした表情を形作るのに、銀時はいやいやとかぶりを振ってから──、はた、と動きを止めた。続く思考の余地に目蓋が忙しなく上下する。 「……………え。何か考えてくれる余地とかあった訳?」 思わず問い返せば、土方は露骨に口の端を下げて舌打ちをした。どうやら意識して『言おう』とした訳ではなかったらしい。 『真選組に戻りたくねぇ訳じゃねェ。かと言ってこの侭ここにずっと居座ってる訳にもいかねェ。……だが、未だに戻る事に恐怖はある。失望に堪えきれるか自信も無ェってのが、情けねぇが本当の所だ』 顰めた表情を全く動かす事もなく、そう少し早口で──独り言の心算だったのかも知れない──言い終えると、土方は畳に膝をつくと銀時の方へにじり寄って来た。 『正直、テメェの提案に揺らいだ自分が居たのは事実だ』 慎重な野良猫の様にひたひたと近付いて来て銀時の眼前で止まると、その顔を見上げた土方は目元を歪ませる様に細めて、それは挑戦的に笑ってみせた。 向けられた思わぬ『言葉』に、銀時は寸時喜色を浮かべかけて──然し留まった。眼前で、にこり、と言うよりは、にやり、と笑っている、そんな土方に合わせる様に、銀時も口の端を吊り上げて応じる。 「……じゃあ、ここに居たら」 『出来るか』 にべもなく答える土方。 「ここに居ろって」 猶も続ける銀時。 『無理だってんだろ』 笑んだ侭返す土方。 「ここに居たいって思ったんだろ」 追い縋る銀時の言葉に、 『なんでそう思うんだ』 問う土方。 「…お前の事なら解る気がする、って言ったろ。何しろ、解ってやりてェ一心でずっといたんだからな」 に、と笑みを刻んで自信たっぷりにそう言ってから、銀時はそれと全く同じ調子で続けた。 「……解るからこそ、おめーがどうしたって戻るんだろうってのも解ってんだよ本当は」 何せ、俺の知っている真選組の副長サンは、そう言う奴だから。 痛みを振り払う様に笑いながらそう言い切ると、銀時は顔を俯かせた。すると、その肩口にふわりと土方の額が寄せられる。 『……それでも良かったのなら、良いのにな』 俯いていたから、土方の顔が、言葉が、見えた訳ではない。だが、そう『聞こえ』た気がして、銀時は「そうだな」と頷く。 『なんで解るんだよ』 頬に触れている髪がさわりと揺れる気配と共に重ねられた気のする問いに、そっと手を持ち上げて応える。 「お前の事が好きだから、解っちまうんだ」 そう吐き出すのと同時に、銀時はすっかりと強張った掌で土方の背を掻き抱いた。 土方は少し驚いた様に背筋に緊張を走らせたが、暫くするとようよう力を抜いて、それから銀時の耳へと唇を寄せると、一言ずつ吐息で言葉をそこに紡ぐ。 『俺も、てめぇの事が、好きだ』 ──その、聲が、聞きたくなった。 「土方、」 背を畳の上に押しつけられても、のしかかる様にその体を跨いでも、土方は銀時を拒絶しようとはしなかった。ただ、ほの紅くなった目元を誤魔化す様に視線を逸らしつつも黙って目を閉ざす。 いいのか、とも、いい、とも、お互い口にはしなかった。 何故、とも。 あんなに欲しかった言葉たちも、ここでは最早役立たずの言い訳しか紡いでくれそうもないのだから、良いかと思う事にした。 * 制止の言葉か、或いは尤もらしい言い訳をか、探す暇も無く背中が硬い畳に着地している。藺草の日溜まりの様な香りに目を細めながら、土方は眼前に迫っていた銀時の頭へと手を伸ばすと、その頭をぐしゃりと撫でた。いつか自分がされたのと同じ様に。 すれば、銀時が笑みとも苦味ともつかない表情を浮かべた顔をそっと寄せて来たので、土方は黙って目を閉じて応じる。 間髪入れず落ちて来た唇を食めば、段々とその行為に夢中になって、無心に互いに粘膜を擦りつけ合う様に口接けを交わし合う。は、と合間に切れ切れに吐息をこぼして、どちらともなく伸ばした手で両頬を掴んで寄せ合って、口唇を、舌を、咥内を、唾液を、呼吸を、狭間に存在するあらゆる全てを貪り続ける。その様はまるで、何か別のイキモノが両者の間でのたうち回っているかのよう。 切れ切れの呼吸と思考の直中で土方はぼんやりと、通じたのだろうか、と思っていた。 言葉か、それともそれよりも明確な何かが。 「っは、」 互いしか見えていない様な、性交より余程に生々しい口唇の交合から土方が緩く首を振って逃れようとすれば、銀時は存外に素直に呼気を吐いてその唇を解放してくれた。荒い呼吸の残滓を纏い付かせた、熱の孕んだ目を眇めて、名残惜しむ様に軽く啄む音を立ててから顔を少し離す。 「………」 『………』 至近で見つめ合った眼差しには、何も言葉を乗せる余地は無かった。銀時は無言で、土方は『聲』は紡がず、もう一度寄せ合った唇同士の寸時の触れ合いだけで会話をする。 自らの着流しを手早く脱ぎ捨てて、銀時は土方の着物の袷に手を掛けた。一瞬だけ伺う様な色を乗せた指先だったが、土方の無言の諾を受ければ忽ちに思い切りよく動いて胸元を大きく肌蹴させる。 肌を滑る指と辿る唇とに陶然と目を細めながら土方は、どうしてこんな事になっているのだったか、とぼやりと疑問を浮かべたが、多分互いの『言葉』の通りの衝動の、その辿り着いた結果なのだろうと思って、それ以上疑問の答えを追うのを止めた。 『 、 』 探る様な指先に腰骨の辺りを擽られて、ぞくりと背が浮かぶ。飲んだ筈の息が音にならず溶けて行くのが怖くて、喉で大きく息を吸うが、吐き出す呼気に音の一切が生じない現状は変わりはしない。 『 』 両足の間に割り入れられていた銀時の膝が股間を軽く刺激して来るのに戦いた土方は、吠える様な心算で口を開く。もしも声が出ていたらさぞみっともない音声で、音量で声を嬌げていた事だろう。 それ自体は酷く無様で恥ずかしい事だと思うのに、声が出ない事で、己の全身が今感じている感覚が信じられなくなりそうで、堪らなくなって口を片手で押さえた。 『 』 下着を剥がそうとする銀時の動きを手伝って腰を浮かせて、いよいよ本格的に土方の両脚の間に陣取った銀時が黒のインナーを脱ぐ姿を見上げる。 何たる様だろう、と客観的に己を表すればそうとしか言い様がない。唾液の交合で子供の様にべたべたに濡らされた唇も拭わず、着物を半端に乱して、身一つに向かれた下肢はあられもなく開かれその間に男を迎え入れている。 まだ服を着た侭の銀時の、然し着衣越しでもはっきりと解る程に張り詰めた下肢が、ぐり、と押しつけられる動きに、土方はこれから求められる己の役割を思って僅かに震えた。 恐れよりも、歓喜に似た期待に。焦がれる様な願望の側面に。 見上げれば、ごくりと喉を鳴らした銀時の顔は、熱情と欲との狭間に揺蕩っている。恐らく見下ろされている己も似た様な、本能剥き出しの面をしているのだろうと思えば、これもやはりお互い様だと思う。 言い訳でも建前でもない。言葉より雄弁な『語り合い』で全てが通じている気がして、土方はその事実にこそ酷く安堵出来た。 『 、 、 』 前を寛げて己のものを取りだした銀時が、土方の下肢に同じ様に合わせてゆるゆると腰を動かし始める。硬くなり始めていた性器に与えられる生々しい刺激に、土方は喉を大きく喘がせた。慌てて口を押さえると、続け様に銀時の手に直接重ねた性器を一緒くたに握り込まれ、悲鳴の様に息を飲む。 『 』 音にならない息遣いは何を訴えようとしたのか、自分でも定かではない侭。銀時の荒くなる呼気と合わせた性器を扱き上げるにちにちと言う水音とを聞きながら──或いは聞かされながら──、土方は途切れ途切れの息が零れる口を押さえて身悶えた。一方的に責め立てられる感覚と、声の出ない事で定かではなくなった己の感覚とに翻弄されて、上手く銀時の動きについて行けぬ侭に、気付いた時には大きく背を仰け反らせて達していた。 『、 、 、 』 ひく、と喉が鳴った。ぶるぶると震える、持ち上がった腰の上でじとりと温い液体が拡がるのと対照的に、まだいきり立って脈打っている銀時のものが直ぐ傍にあるのを感じてはいたが、到底堪えきれるものではなかった。快楽と言うよりは充足に近いものの大きさが今まで得た事もない程に腰を重たくして、甘い痺れを余韻の様にそこに残している。 達した後の気怠い冷静さも手伝って、何だか自分だけが酷くみっともなく啼かされていた気になり、土方は口を押さえる指を噛みながら、頭をごろりと横に転がした。 ぬる、とした感触を纏って、銀時の指が腹の上に散らされた土方の精液を掬って行く。その指が、ぐい、と膝上に持ち上げられた臀部に触れて来るのに流石に鼓動が跳ねるが、土方はその侭の体勢でただ目を強く閉じた。 恐怖は在るが、それ以上の期待感が在る事に気付いて仕舞えば何だかどうしようもない存在に己が成り果てたのではないかと思えたが、静かな部屋に響く銀時の、欲を孕んで興奮した息遣いや動きに、合わせあった肌に触れる汗や熱に、土方は矢張り酷い安堵をまず憶えていた。 同じ感情が在って、こうしている。その事実を互いの、青臭く性急で、拙さの滲む様な行為から感じ取れている。 『 』 後孔の周囲をぬるぬると行き来した指が、ゆっくりと体内に含まされて行く。目を見開いた土方は己の指に歯を立て、逆の手で畳に爪を立ててその衝動をやり過ごそうとした。 『 、 』 喘息の様な呼吸が、本来ならば吐き出されていた筈だ。痛みと苦しさと衝撃とに視界が涙に滲む。 ひじかた、と吐息に混じって掠れた銀時の声に、誘われる様に顔を正面へと戻せば。 「聞かせて」 熱を纏った眼差しで真っ直ぐに見据えられて、そんな事を言われた。 問いの意味が解らず瞬きを繰り返す土方に向けて、銀時は続け様に、指を抜かない侭で掴んでいた腰を一旦畳の上へと下ろした。支えていた腰を手放した事で空いた手で、自らの口を押さえている土方の腕を引っぺがす。 『 、』 「聞かせろってんの」 少し苛立った様に──否、切羽詰まった様に繰り返されて、そこで土方は漸く『聞かせ』ると言うのが己の声であると言う事に気付いた。気付いて、益々に困惑した。 だって、声は出ないのに。 どんなに無様に喘ごうが、気持ち悪さを憶えようが、痛みに恐怖が過ぎろうが、腰が浮く程に気持ちがよかろうが、『声』が出ないからそれを伝える事が出来ない。自分でさえそれを上手く聞き取る事が出来ない。己の身体が、心が感じているのだろう感覚を、知る事が出来ない。だから、そんな声にも言葉にも意味など無い。 『 』 万事屋、と呼んでかぶりを振る。厭なのではなく、出来ないのだと言う意味で。 然し銀時も同じ様にかぶりを振って返してくる。 『聞きてェんだよ』 口元から剥がした、歯形のついた土方の手へと労る様に口接けを落とした銀時の指が──逆の手の指が──不意に体内で再び蠢いて、押さえる事も出来ない侭に声にならない声があがる。 『 、 、 』 違和感を塗り潰す快感に喉を戦慄かせる土方の顔に無理矢理己の顔を近付けながら、銀時は熱の浮いた声で、まるで悪戯っ子の様に囁いた。 「聞こえねェから良いなんて訳ねぇだろ。聞こえねェから聞きたいし、誰にも聞かせたくねェから猶更聞きてェの」 『………、』 論理立ても何もない、謎掛けより謎なそんな言葉に、言いたい事もツッコみたい事も幾つも浮かんだが、土方はそれを伝える努力を取り敢えず放棄した。体内の指が再び好き放題に動き始めたからと言うのもあったが、声にならぬ声で、それでも伝われば良いと思って──聞き取ってくれればそれで良いと思って、体内から、心の奥から、脳髄から沸き起こる衝動に任せて素直に喉を震わせる。 音も、声も、何も出ないけれど。 それでも伝わっているのだろうと言う確信を込めて、銀時の背に手を伸ばした。 指が抜かれて、代わりに宛がわれる熱量にはくはくと呼吸を繰り返しながら、土方は銀時の背に回した腕に力を込めた。 通じたのだろう。きっと。 伝えられる言葉は無いが、伝わっていると確認する術も、聞いてくれようとする者も居る。 ほ、と銀時が安堵や充足や、様々なものの篭もった息を吐くのが聞こえた。 「声、きっと戻るよ」 その吐息に混じって、小さく、何処か惜しむ様に囁かれた言葉の意味を、土方が理解するのは、その数日後の事だった。 25で終わる予定が無駄えろのターンで狂わされたと言う話。 ← : → |