秘すれば花 / 6



 向かう先にその姿を認めた時、土方の胸中に湧いたのは「またか」と言う言葉だった。
 
 うんざりとしているのか、それとも他の理由があるのか。自分でも良く解らない侭口端を下げた土方は、背後から付いて来ている部下たちにハンドサインだけで指示を出すと、自らは「この侭行く」と顎でしゃくって示してみせた。
 無言で頷き脇道に向かって駆け戻って行く部下たちの背を見送ってから、土方は己の内圧を下げる為に深い、深い溜息を吐いて歩き出した。出来るだけ無造作に。簡単に気取られる様に。
 「mhu%ds29q0za=$ajz#al、近付くな、fkg7#l、変な真似はするな、コイツを殺すぞ!」
 向かう先に居るのはところどころに母星の言語なのか、聞き取れない言葉を挟みながら喚き散らす天人の男。その横に佇んでいる男の、いつも見慣れた覇気の無い目がこちらを見るのに、土方が憶えていたのは酷く忍耐を伴う諦めに似た心地であった。
 
 坂田銀時。かぶき町で万事屋と言うなんでも屋を営む浪人風の男。
 元攘夷志士だが今では覇気の無いまるでダメなオッさんにしか見えないその男の握る木刀が、今まで多くのものに関わり護って来た事を土方は知っている。
 トラブルに度々巻き込まれ、その度死にかけたりしながらも生き延びて、何度でも前を向いて戦う姿を、知っている。
 
 地下街で怪しげな商売を、法外な料金を取って行っている天人の噂を拾って来たのは、ネットの情報を監視・調査していた真選組隊士の一人だった。
 それは、"その店に依頼すれば願いが叶う"──そんな胡散臭い情報だ。
 真選組が取り締まるべき対象は基本的に法の外にある商売であり、例を挙げると違法薬物だとか兵器だとかその他物品などの売買と言った類になる。そう言ったご禁制のものを取り扱う怪しげな商売は金回りが良く、攘夷浪士たちの資金源になったり各種の犯罪組織に最終的には流れる事になっているケースが非常に多い。それらを未然に防いだり取り締まったりする事も真選組の役割の一つである。
 然し天人の所業であればそれは真選組ではなく別の警察の管轄になるのが筋なのだが、その天人の『商品』に問題があり、それが民に実用的な害が生じる可能性があると言う事が判明した為に、治安維持の名目を以て真選組が捜査に乗り出す事になったのだった。
 傷害容疑の令状を持って店に乗り込んだ途端、件の天人は予め用意してあったらしい脱出口の窓から大胆にも逃走を図った。その天人は歩行する二本の足に道具を扱う二本の手を持った、一見ヒトの様な姿をしているが、多くの動物型の天人たちの様にその面相だけが人間種族とは大きく異なった容姿をしている。その特徴的な容姿を隠す為にか、全身をすっぽりと黒いマントの様なもので覆っていた。一見すれば街角の怪しげな占い師か何かの様な姿だ。
 その黒マントがひらひらと揺れるのを追跡し始めて十分近く。意外と身のこなしの軽い天人は狭い地下街の路地を器用に逃げ回り続け、地の利もあって埒が開かないと判断した土方は先頭を走る沖田と二手に分かれて天人を二方向から挟み撃ちする事にした。
 そうして二手に分かれて向かった合流地点の近くで、その光景が拡がっているのを目にしたのである。
 隘路の入り組んだ路地裏の奥津城。幾つかの道の行き止まりになって不法投棄されたゴミや資材の無造作に転がる小さな広場に逃走中の天人は居た。そしてその横にもう一人。天人の手に握られた銃口がそのもう一人の人間の銀髪の中に差し込まれている。
 またか。もう一度胸中で呟く。道を歩けばトラブルにぶち当たる男である事は知っているつもりであったが、こうも厄介な現場に易々巻き込まれてくれていると言うのは如何なものなのか。
 「……何やってんだてめぇは」
 思わず、と言った感で漏れた土方の呟き声に、それを言われた銀時が何か口を開くより早く、前方の一番隊にだけ注意を払っていた天人が泡を食った様子で振り返る。
 「fmo&01%jh6…!」
 何を言っているのかは解らなかったが恐らくは、近付くな、と言ったニュアンスだろうか。威嚇する様に銃口を人質と土方と沖田の方とに素早く向ける天人に大人しく従って土方は足を止めた。開いた距離は6米と少しと言った所か。10米は離れていまい。天人を遠巻きに取り囲む沖田と一番隊たちよりほんの少し近いが、まだまだ間合いと言うには遠い空隙だ。
 「俺が訊きてーわ、何なのコレ。どう言う系の話なの」
 「大体見た侭だな。てめぇは何だ、通りすがりか?面倒な事にしてくれやがって」
 「通りすがりっつぅか仕事ですゥ。ババァに頼まれたお駄賃しか出ねェ程度のお遣いだけどな、一応は久々の仕事なんだよ、こんな事してる暇無ェんだよこっちには」
 「mo&01%zb8$0!!」
 両掌を開いて肩の高さに持ち上げた銀時が軽口を叩き、天人がそれを制する様に怒鳴りながら銃口を柔らかそうな銀髪頭にめり込ませる。人質の危機(にしか傍目見えない状況に)一番隊の隊士らが僅かに殺気立ち、沖田はやんわり片手を挙げてそれを制した。その必要は無い、と言うその仕草の通りに、人質当人は迷惑そうな顔で頭を銃口に押される侭に傾けているが、その表情には相変わらず危機感なぞ欠片も見当たらない。
 地下街への買い物と言っても簡単に通りかかる様な場所ではない。地下街の作りは地上と異なり野放図に拡がった為にか酷く複雑だ。大方迷子にでもなったのだろう。それにしても巻き込まれ命の危機に晒されている割には銀時の態度は常と変わらずけろっとしたものだ。
 それは概ねいつもの事だが、人質らしい害が今のところ殆ど出ていなさそうな様子に安心する。土方は胸を撫で下ろしたくなる安堵を誤魔化す様に、やれやれと言った仕草で肩を竦めた。
 「%ds2…、コイツを殺されたく無かったら、全員離れろ!」
 沖田が、肩上に担いだ刀で自らの肩をとんとんと叩きながら土方の方をちらりと見て寄越す。どうしやすかィ?と言った意味だ。相手は一人な上に素人だ。そこに加えて人質となっている人間は易々やられる様な輩では無い。隙をついて一気にかかれば制圧も可能だろう。
 だが、土方は天人が警戒しない程度に小さくかぶりを振ると、どう言った経緯かは知らないが勝手に捕り物に巻き込まれて人質になっているらしい銀時と同じ様に軽く両掌を上げた。
 普通じゃない一般人だろうが、元歴戦の志士であろうが、人質は人質だ。巻き込まれて不当な状況に身を置かれている事に変わりはない。僅かでも人質に対するリスクが生じるのであればそれを避けるのが警察としての判断であり使命だ。
 「真選組副長、土方十四郎だ。馬鹿な真似は止めてとっととお縄についた方が利口だぞ。今なら未だ刑も軽い。入管に掛け合って良い弁護士を付けてやる事も出来る。だが、てめぇ自身の手で傷害沙汰でも起こしてみろ、地球の法に則って刑罰を受けなきゃならなくなる」
 「私は誰も傷つけたりなどしていない、そのつもりも無い!ajz#、逮捕と言う事自体が不当な扱いだ!」
 「だが実際、てめぇの客やその周囲の人間の間で謎の昏睡事件が幾つも起きてる。てめぇ自身にその気が無かろうが、幇助の可能性は生憎否定出来ねェんでな。事実関係がはっきりして、てめぇの言い分が正しいものとして通れば罪状も軽くなる。無罪だって主張出来るかも知れねェ」
 「黙れ、それ以上近付くな!」
 話をしながら二歩をゆっくりと詰めた所で、天人は銀髪頭にますます強く銃口を押しつけた。押された首の角度が更に傾く中、銀時は迷惑さを訴える視線を土方の方へと投げて来る。
 「………」
 訴えを受けて心底苦々しい心地になりながらも、土方は大人しく足を止めた。何分相手は興奮状態だ。落ち着くまでは到底まともに説得なぞ聞き入れもすまい。辿々しくはあるが地球の言語をしっかりと理解し会話と意思の疎通が可能だと言うのに、母星の言語が度々飛び出すその様子から見て、天人はこの状況に対して強い怖れや焦りを抱いていると言う事だ。母星の法律が厳しいものであり、現状に地球の法律ではなくそちらを当て嵌めて考えて仕舞っている可能性もあるかも知れない。
 罪状は一応は、民間人数名に対する傷害の嫌疑と、違法な商売に関してのものだ。警察の乗り出す法で逮捕状が出ている時点で入国管理局の手は残念ながら離れており、この天人の母星の大使館も地球には無い。とは言った所で天人を超法規的に赦す地球の法には残念な事に抜け穴が幾つもある。優秀な弁護士でも付けば無罪を勝ち取って母星に強制送還される程度の刑で終わらせられるだろう。
 あとは精々この状況に対する公務執行妨害と言った所だが、それは元より大した刑罰にはならない。
 とは言えそれを真正直に相手に伝える気は土方には無い。下手に黙秘を決め込まれ法の裁きから逃げられる事が今回の様な明確に下手人や原因がはっきりとしていない事件に対しては一番困るのだ。
 原因不明の昏睡、或いは記憶障害と言った症状を起こしている被害者たちは、直接にこの天人とは関わりの無い者ばかりだった。だが、その内幾人かに関係性のある人間達が、この天人の『客』だったと調査で既に判明している。
 彼らがこの天人の『商品』を買って、それらの事例を引き起こしたのだ、とは、未だ仮定に過ぎない。何しろその『商品』は、通常では到底理解し難い、件の天人の種族のみが扱える特殊技能──或いは能力──であったからだ。
 「道を、開けろ!全員、武器を棄ててもっと離れろ!」
 威嚇する様に吼えて頭を大きく振った天人の、目深に被っていたフードがぱさりと後ろに脱げる。そこに在った面相は、頭の左右付近にある小さな目に象の鼻の様に長く伸びた口吻を持つ──、地球では『獏』と呼ばれる生き物に良く似ていた。
 
 天人の売っている『商品』とは、『夢』であった。
 
 言葉にすればそれは実に荒唐無稽としか言い様が無い。夢など個人個人が脳内に蓄積している記憶情報を目蓋の裏で描き見るだけの現象だ。
 だがそれをもしも自在に出来る者が居るとすれば。
 天人は宇宙でも稀少な、獏人と呼ばれる種族だった。詳しい方法やメカニズムなど土方には解らないが、兎に角彼らは他者の夢を自在に出来る能力を持つと言う。
 この天人が地球で行っていたのは、客が望んだ『夢』を与えるビジネス。金持ちになる夢や、望みの物が手に入る夢、行った事の無い場所を自在に体験出来る夢。
 それだけならば何の問題も無い商売だ。言葉通り「夢のある」商売とさえ言えよう。だが、その『夢』を負の方向に使おうと思った者が客の中には居た。例えば憎い相手を苦しめる夢。殺す夢。その天人に依頼をするだけでそれは叶えられる。取り扱うのは客人の夢だけではない、客人の指定した人間の夢でも可能だったからだ。
 無論それは夢の事であって実際の人物が生死に関わる様な傷を負う様な事は無いのだが、それでもそれは酷い精神的苦痛を齎す。夜毎己が苦しんで死ぬ悪夢など見たい者はいない。
 そしてそう言った『夢』の商売を原因として昏睡状態から目覚めない被害者まで出始めている始末なのだ。これは最早警察として捨て置ける存在では無くなった。
 本来悪夢を食うとされている『獏』、その名を冠した天人が悪夢を配って歩いているなど、なかなかに皮肉な冗談だ。
 「……仕方ねェ」
 溜息を吐いて、土方は沖田に向けて軽く手を払う仕草を向けた。沖田は肩を竦めながらも──その指す言葉は「ぬるい選択をするもんでさァ」と言った所か──それに応じ、一番隊の部下らに道を開ける様指示を出す。武器を棄てろと言われた事には従っていないが、じりじりと包囲が遠のいた事に天人は少し余裕を取り戻して来たのか、人質に向けていた銃を未だその場から動かない土方の方へと向けた。
 迷惑顔でいる銀時の腰にはいつもの得物が収まってはいたが、取り敢えず余計な手出しをするつもりは無いらしい。
 その武骨で巫山戯た木刀が、今まで多くの関わったものを護って来た事を土方は知っている。
 その男の勁さを知っている。
 ──だが。
 「オイ。人質なら俺が代わる。とっととそのアホ面下げた民間人を解放しろ。知らねェだろうが、その野郎は元攘夷志士だ。人質だろうが何だろうが、関わった時点でてめぇにも攘夷行為に関わった嫌疑を更に上乗せされかねねェ。いや、この包囲してる真選組が『そう』と判断した時点でその野郎から人質としての価値は消え失せる。お勧めはしねェな」
 天人にだけ聞こえる程度の声音でそう言うと、土方は刀を鞘ごと腰から引き抜き、自らの足下に置いた。口をへの字にした銀時が、何を言い出すとばかりに眉を顰めるのが見えたが無視を決め込み、両手を挙げて一歩、一歩と天人と人質に向けて土方は進んで行った。
 「近付くな!」
 またしても向けられる銃の威嚇。こちらをぴたりと見据える黒い銃口の孔は、深くて暗いその奥に明確な害意を以て土方を威圧して来る。鉛玉なぞ撃ち込まれれば下手をすれば命に関わるが、重火器をそれでいちいち怖れていては対テロ目的として編成された警察なぞやっていられない。
 分かれた部下らはそろそろ背後に回り込めている頃合いだろうか。天人の注意が土方に完全に向いて、人質である銀時から逸れるぐらいが制圧に良いタイミングとなる。そのぐらいはいちいち指示をしなくとも、土方の行動を見れば部下達には見当が付く筈だ。現に沖田は土方の大体の意図を察して、部下に武器は納めさせてはいなかった。尤もそれに関しては土方が危険である事などどうでも良いと言う個人的な思惑が潜んでいただけと言う可能性もあるが。
 ともあれ、土方の立ち位置が最も危険となる所だが、民間人を巻き込み、怪我を負わせる事に比べれば何と言う事も無い。
 そして何より土方には、民間人を護る、と言う警察の使命としての意識よりも、よりはっきりとした理由があった。それを忌避したい想いがあった。
 あの男が傷ついたり苦しんだりする姿など、見たくはない。あの男の周囲の人間がそれを悲しんだり、原因である土方らを責める事など、出来れば味わいたくはない。
 密かな想いを寄せるその男に、真選組と言う土方の最も拠り所とする物を否定されたり、拒絶されたり、嫌悪されたくなど、無い。
 税金泥棒だのと日頃から叩かれている軽口が、本気の言葉になるのは御免だった。
 それは本当にささやかな、望みでさえ無い様な心の運び。恋には満たぬ気の迷い。
 「03m$a!近付くな、本当に撃つぞ!!」
 両手を挙げて少しづつ距離を詰めて行く土方に、天人は両手で握った銃口を向けた。
 至近の狙いを定める為の所作だ。この距離で外せば終わる。だが滅多に外れない。とは言え確実でも無い。明確に致命となるべき部位に当てなければ敗北が決する。だから狙いを確実なものにすべく身構える。
 その瞬間、人質からは完全に意識が逸れた。
 (上手く行った)
 思惑の通った事に土方はほんの僅か笑んだ。そしてそれが、最悪の油断となった。
 天人が銀時に背を向けた事で、完全に死角となった反対側の隘路から土方と別行動となった部下たちが一斉に飛び出す。
 「──」
 怒号の様なその音に天人は思わず振り返り、土方はその隙に最後の一歩を詰めている。銃に手を伸ばし奪い取るイメージはこの状況になってからずっと脳に描いていた。
 然し、手が届くより先に、慌てた天人が銃を取り落とした。土方の意識が落ちた銃の方を一瞬だけ向く。
 それは混戦となる状況では紛れもなく悪手であった。相手がまだ武器の類を隠し持っているかも知れない状況では、一瞬でもその手から注意を逸らすべきではない。落ちた得物よりも隠し持っているかも知れない第二の刃に注意すべきだったのだ。
 土方の目が地面に落ちた銃を見る。鉛玉を撃ち出す、よくある拳銃だ。護身用か何かで手に入れたのだろうか。そんな事を考える一刹那の間に、天人は落ちたその銃への執着を直ぐ様に棄てていた。黒いマントを羽織った懐から取り出した、もう一挺の銃が視界に飛び込んだ時には、全てが遅かった筈だった。
 「オイ!」
 だがその新たな銃口が土方の方を向く事は無かった。否、向きかけていたその動きを、背後から割って入った声が制した。先頃まで黙ってだらだらとした態度で従っていた人質が、注意を引く様に声を上げて木刀に手を掛けている。
 馬鹿か、と叫びたかった。
 警察である自分を、こんな状況でさえ護ろうとする男の精神性が、心底に呪わしかった。
 それこそが、土方の心を惹き付けて已まないものだった筈だと言うのに──或いはそうだったからこそ、腹が立って堪らなかった。
 「万事屋ッ!」
 怒鳴りたかったのか悲鳴を上げたかったのかさえ解らない言葉は、全くの無意味だった。逃げろとも止めろとも続くには足りない空隙に放たれた言葉は最早制止の役にも立たない。
 天人が銃爪を引き、光が弾けた。
 「           」
 己の一瞬の、誤った判断を忽ちに冷えて凍る背筋に感じながら、土方は今度こそ天人の銃を奪い取ってその場に組み伏せていた。集まって来た部下たちが一緒になってそれを取り押さえるのからいち早く手を離し、土方は顔を巡らせて人質だった男の姿を探した。頭に途方もない孔を空け、血を流して倒れているかも知れない男の姿を。
 「……れ?」
 「……………、」
 果たして男はその侭そこに立っていた。間抜けな声を上げて、今し方銃口を向けられていた頭を手で擦っている。外れたのか、と思ってから、握り締めていた銃が硝煙の匂いどころか殆ど熱さえ持っていない事に気付き、土方は思わず奪い取ったその銃を見下ろした。
 銃口の形状は見たことの無い複雑な形をしていた。そして何より、銃口となるべき場所に小さな鉱石が填められているそれは、少なくとも弾丸を撃ち出す用途の物には見えそうもない。
 と、なるとエネルギー弾の類を撃ち出す物だろうか。それならば硝煙の匂いが全くしないのも道理だが。
 「旦那、今なんか撃たれた様に見えたんですが…、……何とも無さそうですねィ?」
 刀を納めながら近付いて来た沖田が、きょとんとして立ち尽くしている銀時の周りをぐるりと伺い歩きながら言う。そこで土方は漸く、早い鼓動を思い出した様に打ち始めた心臓に気付き、
 「……、どんな兵器か解らねェ、医者に連れてって検査だけでも受けさせろ」
 そう、掠れた声で指示するのが精一杯だった。





と言う訳でした。

  :